例文
たからしまのちズ
ななつのこたち ひとつのこ
しまのなかに ひとつのこ
いちねんにつき ひとつのこ
ふちまでいって およぎましょ
しままでおよいであがりましょ
あがればしまのこのたから
たからしまのちフミ
たからほのちズ
ナこからしまのちズ
ナこからほのちフミ
たからしきのちフミ
シマオがフジショーから落書き帳と鉛筆を借りてフジショーの勉強机で例文を書き出した。「最後のやつ、何?」という玲也の疑問に「キミの字は”き”なのか”ま”なのか判らないからね」とシマオが皮肉を込めて返すと照れて頭を搔く玲也。シマオの見立てでは、この文書を書いた人物はレイヤ並みの悪筆のようだ。
突然、シマオが思い出したように言う、「カタカナの”チ”って、漢数字の”千”と似ているから書き間違えているかも」と言いながら落書き帳に”たからしまの千ズ”と書き足した。「”せんず”ってなんだよ?」と問うフジショー。すると「「うーん」」と、なぜか玲也までシマオと一緒に唸る。「いや、”せん”じゃなくて”ち”でいいんだ。”千”って漢字は”ち”とも読む」とシマオが言うと、「そういえば”千葉県”の”千”って漢字は”ち”って呼んでるね」と玲也も頷く。
「となると、千のフミなのか、チのフミなのか、あるいは、千の図なのか、素直に”地図”なのか・・・」とシマオが呟く、「”ズ”って読む漢字って他にもなかったっけ、そうすると意味が全然変わってくるような気がする」と玲也がさらに発展させようとする。「豆も”ず”と呼ぶ場合があるな」とシマオが言えば「頭が高い!って、頭って意味だよな、確か、宿題でも”頭”の読みを書き出すやつがあったけどさ、その中に”ズ”も入ってたよな」とフジショーが付け加える。
「千の頭か・・・怖っ!」と玲也が言うと「頭って、そういう意味じゃないと思うよ、人を集めることを”頭数を揃える”とも言うじゃん?」とシマオが補足する。「と言うことは、多嘉良島の千人ってこと?」とフジショーが問うと、「千人は入れない・・・?」と言いかけて玲也は口を噤んで何かを思い出すかのような表情を浮かべる。「じゃあ、千個の豆か?」とフジショーが言うとシマオが「千粒ね」とフジショーの数え方を訂正した後、玲也の方に向いてから「人形を頭数として数えるなら?って思ってない?」と問うと、彼は考え込みながら「うん」と応えた。




