推理
お盆前の昼過ぎの日差しは強く、薄汚れた紙とはいえ照り返しがきつく眩しいので、シマオの要求で木陰に移動して作戦会議をする。フジショーが「宝の地図だ」と言った理由は大きく書かれた『たからしまのちズ』を『宝島の地図』と受け取ったからだが、テレビ番組の「宝島」の影響を否めない。
「宝の隠し場所を記した暗号文を、そう簡単になくすものではないと思うよ」とシマオが感想を述べる。確かにそうかもしれない、でも、世の中にはおっちょこちょいな人もいるので、絶対に無くさないとも言えない。「いや、でもさ、おれのかーちゃんはしょっちゅう銀行の通帳をなくすぜ?」とレイヤが反論すると、「お前のかーちゃんは別だ!」と二人に否定されてしまった。
そんなたわいもないことをグダグダと言い合いながらも、シマオはフジショーから取り上げた紙切れの内容とにらめっこしていた。「ヒントがあるとすれば、”しま”なんだけど、この”しま”って、何のことだと思う?」とシマオが誰にとは無く問いかける。
この男は、考え事をするときに、結構大きめの独り言を言うことがあるので、他の二人は少し声量を抑えながら話すことにした。「お前がわかんねーならおれらにわかるはずねーよ」と、普段からあまりものを考えようとしないフジショーが言うので、「お前と一緒にするなよ、おれだって少しは考えてるんだぜ?」とレイヤは少し向きになってしまった。