前へ目次 次へ PR 16/30 口づけで灯す炎 彼は今でも震え続ける。 両親を殺した血で、全身を赤く濡らして。 世間は皆、彼に同情している。死の極限まで両親からの虐待を受け続けた、正当防衛だと誰もが認めている。 だけどそれっきり、彼は動きを止めた。記憶を失った心は氷の様に冷え、罪の吹雪に凍えている。 お願い。もうそれ以上自分を責めないで。 そうしてキスした私を彼は、そっと抱き締めてきた。 「心が熱い。優しさはこんなにも温かい物だと、僕は初めて知ったよ――」