表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/35

宮廷の春の宴 舞踏会会場 妻は見てしまいました。夫の不貞現場!!チャンスです!!

家政婦は見た! ではなく

妻は不倫現場を見た。

と言うより 勝手に離婚されることを知った。

 宮廷の春の宴の舞踏会会場の宮廷の馬車止め場からダリアは一人で降りる。 

お義母様の様に優雅に歩く。ポーチの中の招待状を確認する。


 華々しいドレスを着た淑女や凛々しい燕尾服の男性の後ろを静かについていった。周りの人がザワザワ、ヒソヒソはなしをする。

 

「お一人かしら?何処の家の者?」

さすがに一人で会場に来る人はいない。一度は、義母と大きな社交場に出ればよかったと後悔した。 


 受付で招待状を見せる。小さい声で、エリオット夫妻は入場していると伝えられた。妻は私だ。招待状が優先である。夫の招待状でふたりで入場したようだ。貴族の結婚によくある、正妻と愛人。


 正妻を連れずに愛人を社交に連れ歩く。宮廷主催ではありえない。妻が社交ができない場合だけだ。病気療養中とか妻が不在の場合だけだ。貴族は世間体を気にするので、妻以外なら娘や親族を連れてくる。手違いだろうと受付が、慌てて入場を促したのでそのままダリアは入場する。


 高位貴族は後からの入場なので、エリオットは先に会場に入っていた。エリオットの横には、ピンクの髪に赤い瞳。胸のふくよかな女性がへばり付いていた。夫は鼻の下を伸ばして彼女の腰を抱えている。エリオットの周りには、同年代の紳士淑女がいた。扇子を片手にダリアは近づく。エリオット周辺の会話が聞こえる。


 「エリオット、母上のこと残念だったな。内向きをしっかり支え、社交もこなす。賢母と言われていたな」

「まあ、父が亡くなるのが早かったからな。母には迷惑かけた」

やや声を落とす。そこに突然割り込む声。


「そんなことないわ。エリオットはちゃんと子?爵家を切り回す、立派な当主ですわ」

「あなたは・・・?」

「あら失礼ね。ラザフォード子爵夫人ですわ」


「 ????? 」

言葉に詰まる友人達。ピンクちゃんの暴走に周りは、唖然としている。


「明日には正式な妻です。お腹にはエリオットの赤ちゃんがいるのよ」

勝ち誇ったように、にこりと微笑む顔をエリオットに向ける。


「ミリー、黙っていて」

慌てて声を荒げるエリオット

「どうしてよ。私を愛していないの?・・・」

「泣かないで、愛してるのはミリーだけだよ。だから王宮の春の宴に一緒に来ただろう」


 ウソ泣きに気が付いていない。慌てるエリオットを見ているには面白い。三文芝居だよ。ニヤニヤとエリオットを見ながら、泣いているミリーに声をかける男の友人たち。


「そうですよ。ミリーさん、王宮の春の宴は、招待状がないと入れない。入れたのは、ミリーさんが王様に認められたということです」

「そうよね 明日には正式な妻だもの」

泣いていた様子など嘘のようにピンクちゃんは満面な笑顔を見せる。


 もう中位貴族まで入場してきている。ミリーのキイキイ声は、皆の注目を集めた。義母と一緒に社交にいくつか出ている。領主代理として貴族との取引をしている。ミリーがラザフォード子爵夫人でないことを分かっている者も多い。


「あらら、離婚したという話は聞いていないけど」

「お母様がなくなって箍が外れるってことかしら?」

「どうするのかな?なんか面白いことになりそう」

「あら、そんなこと言ってはいけませんよ」

「何言ってるの。貴女だって笑ってますよ」

「周りも面白がっていますね。ここで奥様登場してくれてると最高なんだけど」


 とんでもない。こんなところで修羅場するほど夫を愛していない。すぐに 扇子で顔を隠しながら化粧室に逃げ込んだ。頭を冷やすのには良い場所。

誤字脱字報告ありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ