似た者親子は何時も力ずく
「父様。ありがとうございます!」
「ヴァージニアよ。無茶するな。また権威を傘に着た爺さん連中の嫌味を聴かなければならない」
ヴァージニアの鮮烈な社交界デビュー事件で、シュレリア男爵は元老院に呼び出されて散々嫌味を言われた。
ダンスでお尻を触ってきたロリコン貴族にかえる飛びアッパーを喰らわせたのだ。
逆によくそれだけで済んだと、当面の間、暇な貴族達に噂と言う名の娯楽を提供。
「ヴァージニアさんのお父さん申し訳ないです。全部僕が悪いんです。ついでに僕はピエロじゃありません」
「がははは! 小僧、中々見所があるな! 肝が座っておる。しかし、ある意味道化にも映るがな」
何か含みのある言い方をするシュレリア男爵は、ハルトの一言一句に興味があるようだった。
「父様、それは誤解。こいつずっと震えっぱなしだっちゃ」
「内心おしっこチビるかと思いました…………」
ぐったりと馬の背に顔を埋めるハルト。
獣臭かったが緊張が解けて何故か落ち着いた。
「この変態! 考えなしにも程があるっちゃ!」
「ごめん。ヴァージニアさんが馬鹿にされているのが我慢できなくて」
「うぐむっ……」
この無謀な少年に何か言いたかった。
しかし、私の為に動いてくれたと、心の何処かで助けを求めていたヴァージニアにはこれ以上責める事は出来なかった。
「僕はそんな熱血キャラじゃない! ああああ、自己嫌悪……………」
「よいよい。もしもの時は俺が力ずくでねじ伏せるわ! がはははは!」
シュレリア男爵は力こぶを作り頼もしく豪快に笑う。
王国には決闘裁判という制度がある。
罪を犯し確たる証拠がない時に白黒着ける文字通りの決闘だ。
もしも相手が訴えてもまた勝ってしまうだろうと、ヴァージニアは歴戦の裁判勝者でもある父を誇らしく思う。
「父様! もうお歳なんだから御自愛してくれだっちゃ!?」
「ヴァージニアよ、孫を抱くまでは年寄り扱いは厳禁だ。それに娘の危機に助けぬ親が何処にいる?」
「うう!」
ハルトは親子のやり取りを拝聴してある思いが過っていた。
シュレリア男爵ならこの先待っている未来を教えても大丈夫なのではないかと。
(少しでも味方は多い方がいい。侯爵が裏切るのが決定事項なのかは僕もまだ分からない。大体、この世界とゲームの因果関係も不明なんだ。ここは慎重にいかないと…………)
ハルトは意を決し、「あのヴァージニアさんのお父さん」怖ず怖ずと顔を上げる。




