相棒、未知の領域に首を突っ込む
「でも、本当に真実なんだ。魔法もあるしモンスターもいる」
『リアリー? 本当に?』
「いえす、まむ」
『まぁ、いいさ。取り敢えずこの前の事を含め、ハルト被告には説明義務があるのだよ。軍法会議に掛けられたくなかったら、全てゲロしろやこら。かっこハート』
この前とはもちろん、いきなり説明もなく発進シークエンスをやらせたあの件である。
当初は圏外だったが、ロボを愛する己のセブンセンシズが無意識に引き寄せた奇跡。
そしてそこに新たな神の御業、テレビ電話だけの回復も新トピックスに追加された。
「めんどい」
『信じて欲しかったら、とっとと、は・き・や・が・れ、だみゃあ』
「はい」
笑顔が怖かった。
例えるのなら、母ちゃんに秘蔵のコレクションを発掘された思春期ボーイの心持ち。
ハルトはまたまた説明する。
ヴァージニアで慣れたのか、要点を纏めて簡潔に伝えられた。
凜は終始無言で講演会を視聴するマダムのように頷く。
凄い体験を語っているのにリアクションが物足りない気もするが、通販番組に登場する何処から集めてきたのかが謎の驚くのを生業としている母ちゃんギャラリー集団よりましだ。
『――ふむふむ、面白い事になっているではないかなぁ。むふぅ!』
「このメガネ、おもいっきり、心配より興味が先行しているね」
ハルトはにわかに信じがたいとでも言われるかと思ったが、予想外の食い付きに好奇心旺盛なのはゲーマーの宿命と改めて納得した。
『当たり前だぎゃあ。代わりに私が行きたかったばい!』
「モンスターとの戦いでもこれは本物の戦争だ。全然良いものじゃないよ」
凜の興奮すると言語が怪しくなる癖に苦笑しながらも、これはリアルで遊びじゃない事を訴えた。
『それで折角の帰れるチャンスをフイにして、ハルちゃんはどうしたいの?』
「僕はハッピーエンドへヴァージニアさんを導きたい。せめてこの戦争が終結する時まで」
皮肉混じりの質問もこの火の灯ったゲーマーには無意味。
どのアニメ・ゲームにも共通の主人公補正で何とかなると思い込んでいるきらいがある。
『っと、言うのは建前で、その女の子が好みなんでしょ?』
「そんなことはないよ。うん」
まるで心をレントゲンで見透かされたようで、思わず口を隠す動作をするハルト。
だが、気持ちは変わらない。
それどころか、本腰入れて語り合う気満々で上着を脱いだ。




