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盗み聞き


 何故、ハルトは充電をしているのか?


 動画パートナーの長瀬凜と連絡をとる為ではあるが、遠い異世界にいる以上、必須事項でもない。

 ならば答えは自明の理。

 スキルを掌握する為だ。 


 ハルトはヴァージニアを守るため、改めてスキルを強化する決意をする。

 操作性を上げてこれから必要になる最低限のスキルを吟味していた。

 ポイントが有限である以上、ある程度計算して使わないと、詰将棋のような惨事になりかねない。

 しかも、副作用なる制作者の悪戯をどう回避するかも勝率を上げる鍵だ。

 もしもの為に攻略サイトページを予めダウンロードしておいたのは、用心深い生粋のゲーマーが為せる技。

 

「話は変わるけど、ヴァージニアさん」

「ななな、なんだっちゃ?」


 不意に見せるハルトの真剣な眼差しにヴァージニアは何故かキョドる。


「大丈夫なの?」

「ん?」

「僕が言うのもなんだけど、輿入れ前の女の子がずっと男の部屋に居座るのもまずいのでは?」

「はん、お前なんか殿方の数に入らないっちゃよ。駄犬」


 ヴァージニアは鼻で笑う。


「ひどっ! あの情熱のキスは偽りだったの?」

「え?」

「僕は再トライオッケーよ」


 と、口を突き上げる。


 その対象はみるみる赤面して後退り、「………………なななな! ずず図に乗るな変態! あれは気の迷い! 馬鹿死ねだっちゃあああ!」ベロを出すと、ヴァージニアは怒り肩で退室した。


 ドアの衝撃音で一瞬、竦み上がる。


 実はハルトはこうなると思いわざと怒らせた。

 もちろん訳はある。


 スマホに目を通すと通話中の文字。

 どうやらヴァージニアが弄っている間に誰かへ繋がったようだ。

 幸いマナーモードにしているので終始気づかれる事はなかったが、代わりに別の懸念が生まれる。


 それは、


 静かに携帯を耳に当てると、『キャアアア! 何々、今のハルちゃん好みのろりボイスは!?』聞き慣れた歓喜の声。


「長瀬さん。生還した友達に対して初動がそれなのは如何なものかと?」

『ハルちゃんはろー!』

 

 ゲーム友達にして眼鏡JK、長瀬凜は悪びれもなくスルー。

 カメラをオンにした凜の部屋は、ゲーセンでゲットしたぬいぐるみで溢れていた。

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