永遠の純白(ヴァージニアサイド)
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「ガーターベルト!」
白だった、レースだった、花柄だった。
未開の扉を開けると全てを魅了する圧倒的な純白が、感受性豊かな少年の淀みないまなこに映り込む。
陽光射し込むバルコニーの窓を背に、決め細やかな肌と、腰まである美しい金糸の束と相まって映えた。
「ノックぐらいしろだっちゃぁぁぁ!」
「白、ロリのアルティメットにして、フェイバリット、グッジョ――、おふっううう!」
無断でオープンすると、ギャルゲーやラブコメではお約束の光景が広がっていた。
幾ら当人には英雄でも恩人でも、ノゾキマにはそれに相応しい洗礼または対価を受けるのが、ラッキースケベの常識であり、男主人公の責務ではなかろうか。
現実の時間にして数秒の出来ごとなのだが、まるで映画のワンシーン、または仕事や学校お昼休み前1分の様に、顎へ決まったクリティカルアッパー。
少年は脳内で何度も幸せをリフレインしながら、物理的に廊下に強制送還される。
因みに二人は相性が良いのか、壁に衝突した衝撃とドアが再び閉まる衝撃の音は同時だった。
――――話は数刻前に戻る。
少年少女が再び安寧を取り戻したのは、時計の針が一周したあたりだった。
戦闘後、何とか外へ出られたハルト。
泥まみれの戦女神を背負って、無事にヴァージニアの生家であるアシュレイ砦に辿り着く。
敵に遭遇せず到着したのは、ひとえにバクリュウキョウが密かに教えてくれた最も安全なルートのお陰だ。
咲き乱れる鮮やかな色とりどりのコスモスが、主の帰還を喜ぶかのように光彩を放っている。
「ここがヴァージニアさんの実家なの?」
「そうだっちゃ。中々のものだろ?」
シュレリア男爵本拠地 アシュレイ砦――――丸太を組み合わせた木製の質素な建物。
規模は砦としてはこじんまりとしている。
「石作りのお城をイメージしていたから、木造建築の小砦で拍子抜けた」
「所詮は男爵だっちゃ。居を構える事を許されるだけ優遇されているんだっちゃよ」
ゲームで得た情報による想像と現実とのギャップで、なんとも言えない悲壮感が込み上げてきた。
お出迎えも、貴族らしく華やかなメイド軍団をイメージするも、実際は使用人が家族でお出迎え。
アットホーム過ぎるだろと、ムッツリな欲望まみれを期待していた肩を落とした。
無事生還した少年少女が砦の床を踏み鳴らす。
年期が入った古い廊下。
ハルトは途中、たまたま目に留まった凛凛しい人物画がヴァージニアと重なり気になった。




