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ソウダとキョウシ


「がははははっ! 象は蟻を倒すにも全力を出す。バクリュウエイの旦那、俺様に油断はねぇ!」 


 熊の魔人ことワーグリズリー曹打ソウダは、豪快な見た目と同じく剛毅な態度で力一杯に、下を這い回るサソリを一撃で踏み潰し豪語する。


「誇大妄想だ。何事も慎重を欠いた者に勝利など訪れない」


 鷹の魔人ワーホークこと姜史キョウシは、フクロウの如く首を竦めた。

 慎重派の彼はソウダの短慮に一抹の不安があった。

 この兵士が身に付けているのは革製のプレートアーマー。

 複数の革をなめして前と後ろを紐で繋げたシンプルなもの。

 一般兵ではないのだが、これは飛ぶことも想定しているので、出来るだけ軽装にしている。

 一見貧相だが、戦場では十分機能していた。


「キョウシが慎重すぎるんだぜ」


 一方、ソウダは上半身だけだが鉄製のプレートアーマーに身を包む。

 中央には獅子の刻印が刻まれている。

 更に防御力を高める為、2本の鎖を鎧の上から体に☓の様にして巻いていた。


 このソウダとキョウシの二人は全く正反対の性格だが、雑兵時代の腐れ縁で正規兵に昇格してもこの調子で口論していた。

 だが、戦闘時の陸と空の抜群のコンビネーションと、個々の武勇が格段に秀でていたから、出が不確かでもここまで登ってこれた。

 そう、これが彼等が貫いてきたスタイルなのだ。

 なのでこの上官も気には止めていない。

 夜間に有利な縦長の瞳孔が、慈愛にも似た信頼の眼差しを向けた。


「この任務は明らかに武功を挙げるにはハズレだが、軍団としては重要な案件の1つだ。気を抜かない様にな。私も父上――、いや、軍団長に顔を出したら直ぐに駆けつける」


 姓は漠留バクリュウ、名はエイ、あざ名は項臥コウガ

 それがこの鮮やかな光沢が見事なパープルのリザードマンを表す個体名だ。


 祖父は魔王国家『楚』の宦官 漠留義バクリュウギ、父は将軍 漠留度バクリュウド


 漠留家は竜族の名家であるが下級の種族リザードマンのバクリュウドが、竜族バクリュウギの養子に入ったことから、バクリュウ家は一般家名に落ちる。

 コウガは子がいないバクリュウドの養子で後継者の一人だった。

 

「おう!」

「はっ、お任せを……。必ずや敵総大将の正確な位置の吉報を御前にお持ちしましょうや」


 武人達は上官であるバクリュウエイに、力強く拱手して了承した事を表した。


 ソウダ達の任務は敵の総大将である獅子王騎士団ヴァン公爵の捜索。

 初日で総崩れになった後、行方知れずになっている。

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