望まぬエンディングロール(前編ラスト)
エピローグ
少年ハルトがモニター越しに見上げた天井は、永い呪いまたは悪い魔法が解けた世界のように、紺色から乳白色へと場面が移り変わっていた。
「ふうぅ、ヴァージニアさん、お疲れ様」
『ZZZZ……』
全てを終え脱力するハルト。
木にもたれて眠りについた少女と周囲に気遣いながらも、今後の事を思い更ける。
(未だに信じられない。僕は戦ったんだ。それもゲームじゃない本物の敵と)
そう感じると、冷気に晒されたと同等の身震いが襲う。
平和な世界で生きていた只の16歳の少年だ。
全身の震えが止まらないのも至極当然。
今頃になってとんでもない事をやったと実感した。
「それに、どうしょう。僕はどうやって帰ればいいんだ? ボスを倒したから終了ってことは……ん? ――なんだこれ?」
目線を泳がせているとディスプレイに現れた謎のボタンを発見、『ED』と表記されていた。
(もしかして、これを押せばエンディング? 元の世界に帰れるのかな)
予期してなかった光明に思わずハルトは後先考えずEDボタンを押してしまう。
その瞬間、画面全体が暗転。
バッドエンド系エンディングテーマをバックに、文字が滝のように流れ落ちてくる。
「ええ? 何々!? これってもしかしてエンディングロール?」
そこにはどういう訳か、ハルトやヴァージニアやバクリュウキョウの名前が記されていた。
ハルトが去ったその後の様子が無機質に流れる。
――その後の世界
ゴットハルトがこの世界に嫌気を差して離脱後、父が所属する侯爵軍と合流したヴァージニアは、軍の再編成で先鋒隊に組み込まれる。
だが、突如侯爵軍が魔王軍に寝返り孤立無援に陥る。救援が駆けつけた時には既にヴァージニアは事切れていた。
その死に顔は無念の死に相応しくない満足したものだったという。
後に魔族の将が語る。
彼女は最後まで諦めず絶望に立ち向かったと。
その壮絶な死に様は怖いもの知らずの魔族も震撼させたと。
ヴァージニアは逃げたゴットハルトを恨まず憎まず感謝していた。
今際の際に、「ハルト、お前は私の勇者様だっちゃ。もっともっとお話ししたかったよ……」と、笑顔を浮かべながら天国へ召されたのだった。
このままスタート画面へ戻りますか? それともエンディングをキャンセルしますか?
ディスプレイには元の世界へ送還とも取れる戻る選択と、キャンセルして物語を続行するかの選択が提示された。
「うわあああん! こんなバッドエンド読んだら戻れないでしょうが!」
ハルトは速攻でキャンセルした。
NEXT 「異世界無双。黄昏とチート無敵のナイトライダー」
To Be Continued




