死闘の決着
『これを待ってました!』
「くたばれぇぇぇぇぇぇ!」
泥人形に身を潜めていたヴァージニアは、懐に入り蛙跳びアッパーを応用した奇襲攻撃を弱点へ仕掛ける。
「成る程。泥にまみれていたのは視覚の撹乱ではなく人形をお前と認識させる為か。だが、まだまだ甘いわ!」
「ええっ!?」
「我に纏え! 風装闘衣!」
吹き上げる風が衣の様に前方を遮る。
まるでバリアだった。
「風のサナギみたいだっちゃ!」
『弱点がまるで見えない。全方向一斉発射なんてチート過ぎる。もうただの詐欺だよ!』
幸いヴァージニアは重心を低くしていたので、辛うじてその場に踏み留まる。
しかし、風圧で押し戻され狙いが定まらない。
「くははは! 己を高めて気を練れば魔法が使えなくとも森羅万象へ干渉する事も可能だ!」
『こいつを使うしかないのか?』
普段の癖か、無意識にギアへ手をかける。
サードギア。
能力強化の三段目。
そして、必殺技の解放条件。
使い所はここなんだ。
ハルトはそう覚悟を決める。
でも、マシンならガソリンだが、人間だとMPだ。
サードに上げるとガンガン減る。
ゲームでの使い道はブースターとして時間制限残りわずかで使う。
だが、ここは現実だ。
タイムリミットもないし、戦いが終わったら全て回復する御都合主義も存在しない。
『今から危険な事をする。これしか方法がないんだ』
「みなまでいうなっちゃ!」
『ヴァージニアさん、我慢して!』
「お前に私の全てを預けるっちゃぁぁ!」
画面にはサードの表示。
更にファイナルアーツ解除を示す必殺技ゲージが点滅していた。
「甘いわ、何度やっても――何だと!? 俺の体が動かない!」
『いけぇぇぇぇ!』
システムの性質上、ギアを切り替える瞬間、相手の動きを止める効果があった。
これを利用して更にエンドレスに攻撃を与え続ける。
ヴァニシングライダー対人戦では多用すると晒し対象となる基本のはめ技だ。
「うおおおおおおおおお!」
『うらあああああああああ!』
二人の心がユニゾン。
ファイナルアーツシステムによる必殺の高速の剣撃がバクリュウキョウの防御を破り、「ヌガアアアアアアアア! 馬鹿なああああ!」頑丈な鎧を粉砕、滅多打ちに叩きのめす。
「見事だ……、ぐほっ!」
吐血したバクリュウキョウは落ちるように倒れた。
再び立ち上がる力も残っていない。




