激しい撃ち合いの攻防戦
「流石は魔王軍一二を争う天下無双の戟使い。私なんかじゃ歯が立たないっちゃ」
「いや、初戦と違い武器特性を完全に掌握している。こんな短時間で武芸が成長するなど聞いたことがない」
「お前を倒す為に悪魔に魂を売ったっちゃ」
リザードマンの疑問に騎士は言い切る。
『酷い! 僕は悪魔じゃないよぉ!』
「言葉のあやだっちゃ」
ハルトはそう言いながらも、押されつつある相手の攻撃パターンを探りながら勝機を分析していく。
こちらからのアタックは極力抑え、慣れることを最優先にする。
体力はまだ減ってない。
序盤の想定通りの展開にほくそ笑んだ。
敵の軌道が変化する攻撃に、今までの経験から導き出される答えを、操縦桿を巧みに操り実演する。
セカンドギアでも手強い相手にハルトは、久しぶりに世界上位ランカーやプロプレイヤーに当たったぐらい興奮と高揚していた。
十四合。
十五合。
十六合。
十七合。
十八合。
十九合。
二十合。
激しい攻防は続く。打ち合いは怯んだ方が負け。ハルトの操作と同調しているヴァージニアは根気比べに気迫で食い下がる。
『まだまだ!』
「おいおい、ここまで俺の攻撃を真っ向から防ぎきるとは、この前の歴戦の戦士を相手にしているみたいな感じだぞ!」
「それはどうもだっちゃ!」
目が慣れたハルトは相手の動きを読んで、劣勢だったのを五分にまでV字回復。
バクリュウキョウはハルトの存在を認識していないが、まるで合わせるように口元が本能に従って綻んだ。
鋭い牙は獲物を補食するようにてらついているようだった。
二十一合。
二十二合。
二十三合。
二十四合。
二十五合。
二十六合。
二十七合。
二十八合。
二十九合。
三十合。
四十合。
五十合。
ハルトは矢継早に迫ってくる刃に、音ゲーで鍛えた乱れ太鼓並の連打でどんどん合わせ打ち返す。
不意にバクリュウキョウがワンテンポ振り遅れてオーバーアクションになるも、これは隙を見せた所をカウンターする誘いだと見抜きわざと無視した。
逆に基本と応用技とフェイクを織り混ぜ、ハルトはここで初めて防戦一辺倒だった攻守を入れ替え主導権を得る。




