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そして日が沈む


「はぁはぁはぁはぁはぁ、ど、どうだっちゃ!」

『よし!』


 格下の認識を改めたのか、「ヴァージニア・ウイル・ソード、面白い面白いぞ!」バクリュウキョウは戟の構えを片手から両手に切り替えた。


 バトンガールなど敵わないヘリコプターのような気合の入った速い戟の回転に空気が切られる。


「それはそうと変態、何でさっきみたく飛ばないんだっちゃ」

『状況が全然違う。あれは一対多数だから意味があるんだ。今やったらハエのように一撃で潰されてしまうよ。今は出来るだけ切り結んで、相手の動きを覚えないと』


 時間制限がないから可能な戦法だと、画面上に表示しているカウンターが∞になっているのを改めて確認した。

 

「貴様、前回は実力を隠していたのか?」

「さてね。答える義務はないだっちゃよ」


 ヴァージニアの無駄の無い動作の剣撃に、バクリュウキョウは驚きながら受け続ける。

 足の踏み込み方、腕の振り、洞察力、瞬間的判断力、どれをとっても幾多の死線を潜り抜けている自身と引けを取らなかったからだ。

 

 六十合。


 七十合。


 八十合。


「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ!」

「中々しぶとい!」


 息つく間も無い激しい打ち合い。

 スタミナだけはあるヴァージニアも呼吸が荒くなっていく。

 お互い一歩選択を間違えたら死が待っている中、ハルトとバクリュウキョウの度胸試しが継続していた。


 ふと気が付くと、鉄紺色の空が色を増し漆黒となり、二人の死闘を燦然と輝きを放っている数百の観戦者が見下ろしてしていた。

  ゴルダ平原の秋夜は気温が下り、冬支度を怠ると生き物達に厳しい洗礼を与える。それは人間も同じ、デュエル中の騎士の体温と気力を容赦なく奪っていく。


『ヴァージニアさん、大丈夫?』

「はぁはぁ、て、手が痺れてきたっちゃ。強すぎる」


 急激な温度変化で顔面が引いた汗でひりつくから、纏っているマントで乱暴に拭う。

 もう一方で、操縦者も数時間の激しい操作で手の痙攣が止まらなかった。


『同感。このリザードマンは限りなく少ない動作で攻撃の軌道を何通りにも変えてくる。手数が多いほど有利なのはアクション全般の常識だ。RPGでさえラスボスは二回、三回は当たり前。これをワンプレーで攻略しろって、無理ゲー過ぎるよ』

「はぁはぁ、また、訳の分からない事を……。じゃ、速さを捨てて渾身の一撃を喰らわせたら良いっちゃよ」


 ハルトのゲーム談義にもう馴れたのか、ヴァージニアは呆れ顔で適当にあしらう。

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