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魔が差したハルト

「おのれぇこしゃくな真似を! 誇り高き魔界貴族がこんな事で屈すると思ったか!」

「お前は本当に自分の事しか考えていないんだっちゃね。無論低脳なオーガ単体に向かって脅した訳じゃない」

「何だと?」


 この子供のまま成長せず大人になった愚か者へ答えを口に出す前に、


「ぎゃぁぁぁァ! 魔法だぁァ!」

「もう、いやだァ!」

「こんな奴に勝てるわけがなイ!」


 ハルトの狙いが当たり、周囲は騒然となる。


 逃げ惑うゴブリン達をソンゲンはことごとくフルスイング、「貴様ら逃げるのは許さん!」残存していた兵士達を次々と追い掛け撲殺する。


 今逃げられてはバクリュウキョウに知られてしまう。

 それだけは何としてでも避けたかった。

 ――そして敵はとうとう愚か者一人になった。


「くそがぁぁ! こうなったら仕方がねえな。てめぇを八つ裂きにしてバクリュウドの敵対勢力へ寝返るしかねぇぜ! あいつは奴隷からの成り上がりだから、貴族にとっては鼻摘み者だからな」

「来たよ」


 ソンゲンは一直線に呆れたヴァージニア目掛けて猛牛のように突っ込んでくる。


「勝算は?」

『100パー。でも、そもそも、スクロール型ではない場面が固定されたアクションゲームは、ある程度雑魚を倒すとボスが出現するのがセオリーなんだよね』

「また、訳のわからないことを……。その根拠のない自信、何処から来るんだっちゃか」


 実は体力ゲージが危険な状態にある今、ハルトでも勝算は戦ってみないと判断出来ない。

 それでも、彼女では全く太刀打ち出来なかった事実がコンディションにどう影響を与えるか分からない今、本音は極力避けて誤魔化すしか思い付かなかった。


 何か対処法はないかと目的もなくコンソールを弄っていると、偶然、スキル一覧表を開いてしまう。


 ハルトは無課金勢なのでスキルの内容は一切知らなかった。

 興味がなかったと言っては嘘になるが、知ってしまってはお金を無尽蔵に投資してしまうので、スキルシステムはスルーしていた。

 何となく目を通すと、魅惑のラインナップに目を奪われる。


《強運》


 運がアップする。(副作用として、男の場合頭から終始タライ、女性の場合、足下にバナナの皮)

 

『……』


 ハルトはイタズラ心でレベル1に上げてしまう。

 ガチャとかに使う有償変換ポイントが無いから無効となると判断したからだというのもある。

 不安から意味がなくても、藁にもすがりたい気持ちがハルトにはあった。

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