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脳筋とゲーム巧者


「変態、実践経験あるだっちゃか?」

『ない。でも、経験はあると言えばある』


 ゲームだけど……、と呟く。


「模擬戦闘だっちゃか?」

『まぁ、そんな感じ』


 ハルトの態度は白々しい感じもするが、この世界では一般人でも訓練は受けるので不思議はなかった。


「でも、余計なことを。別に変態の助けなんてなくても私一人でなんとかなったちゃ」


 この戦いが始まってから何回死にそうになったか。

 基礎の型しか出来ないから、兵法とか駆引きなんて全然分からないだっちゃ――、とは騎士のプライドがあるので言えなかった。


『じゃ、どうやって切り抜けようとしていたの?』

「む、勿論、騎士道と根性とガッツとファイト!」

「好きな言葉は?』

「突撃と突貫!」

『……………………』


 師匠がとうとう匙を投げた時、この要領が悪い不出来な弟子に教えた言葉だ。

 大体意味が同じって事に何故気付かないのだろうと、ハルトは多分ノイローゼになった師匠に同情する。


 道理で戦い方が猪武者だったわけだ。

 この隊長さんなら、騎士道とは死ぬ事と見つけたりとか言いそうだと、聞こえないように再び口に出す。

 

 更に画面に表示されている体力ゲージが桁外れに高い事が、彼女が脳筋系と立証するのに十分な証拠だった。


「まぁ、騎士として礼だけは言っておく。ありがたく思うだっちゃよ」


 知り合ったばかりの得体の知れない男だが、命懸けの勇気ある行動に僅かながら信頼が生まれる。

 そして、まるでそれがトリガーだったみたいに、どういうカラクリか理解出来ていないがコックピット内とシンクロに成功。

 命の恩人の誇らしげな姿が見れずに残念だという想いが、神に届いたのだろうか。


「うぇ……」


 だが、脳内ビジョンに映った救世主は、残念ながら英雄ではなく、初めてエロ本を開いた少年の様にニヤついていたお猿さんだった。

 心情的には、恋する前に千年の恋から覚めた乙女かもしれない。

 

「よくも仲間をヤったナ!」

「すぐに殺してやル!」

『残念ながらレバーを握った僕には、チート勢と重課金勢以外、誰も勝てない』


 ハルトは不敵に憎たらしく口元を吊り上げた。


「もう不意打ちは通用しないだっちゃよ」

『いや、まだいける』

「え?」


 ヴァージニアの体は無造作に右へ左へと剣を振った。

 敵に当たるか当たらないか微妙なラインで軽快に動かし続ける。


『弱パンチ、弱パンチっと』

「キキ、人間の攻撃など効かな……、なにッ!?」


 盾歩兵は雑草に足を取られて前のめりに転倒する。


 ここをヴァージニアはすかさず頭を数回殴打、「ギャァァァ!」最後に突き刺してとどめを刺した。


 これで煩わしかった敵の防御は無くなった。

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