リベンジ
「変態、何をやった?」
『あらかじめ、この周辺に雑草を縛って即席のトラップを作っておいたんだ。それで剣を振り回せば警戒して防御役が前衛に出てくる。そこをトラップに引っ掛かってくれたら……』
「後は殺せば良いだけと?」
『そういうことだね。いい作戦でしょ?』
「ふ、ふん、全然駄目だちゃ」
苦戦していた身としては、素直に喜べない。
『とにかく、こいつら倒して早くここから離れようよ』
「……駄目だっちゃ」
『え?』
「変態、私は仇をとりたい。その力を貸してくれないか?」
強気のハルトも流石に戸惑った。
あの凶暴な鬼を到底一人で撃破出来るとはとても想像出来ないからだ。
『気持ちは分かるけど、無理無理。こいつらとは訳が違うんだよ?』
その間にもゴブリンに対して、突いてきた槍を引っ張って転ばせ、そのまま重心をかけて首を落とす。
格ゲーで馴れたカウンターアタックがオートスキルの如く発動。
その一連の流れる無駄がない動きは、熟練のプロと相手に錯覚させた。
「頼むだっちゃ」
ヴァージニアは食い下がる。
『君が酷い目に合っても?』
「当たり前だっちゃ! あの鬼を殺す為なら悪魔にだって魂を売るっちゃ。そうでないと、もし生還できても仲間の親族達に赦してもらえない。それに私の師匠を……」
深く握った拳から朱色の液体が絞ったレモンのように滲み出た。
言葉の最後だけ執念または怨念みたいな負の気を感じ取ったのか、ハルトは口を噤む。
「言うことを聞いてくれるのなら、特別にお前を豚野郎と呼んでやるっちゃ」
『ぶひぃぃ、それ嬉しくなぃぃ!』
豚野郎はノリが良いから思わず鳴いてしまった。
「おかしいだっちゃね、母が大抵の殿御はこう言えば大いに喜ぶって」
『いやいや、その知識、物凄く偏っているからね!』
普通だったら親の人格を疑うべきだが、意外と世間知らずなお嬢様だった為、疑問に感じることはなかった。




