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ハルトの疑問


「お前は何で戦場のど真ん中にいるんだっちゃ? 魔族側の密偵じゃないのか?」


 落ち着いた所で改めて最初の問い掛けをする。


「どうしてこんな場所に迷い込んだのか分からない。それと僕は魔族じゃない人間だよ」


 ハルトは首を横に振り無関係を意思表示。


「今は領国に侵攻してきた魔族と戦争中だっちゃ」

「僕の国には魔族はいないから分からない」

「魔王は世界中に侵攻している。そんな平和な国、あるわけがないべ」

「信じてもらえるか分からないけど、こことは多分、違う場所から飛ばされて来たというか……」


 申し訳なさそうに眉を下げ、確証がないから言い淀む。


「そんな馬鹿な事あるわけないち――」

「あるだよ」


 速答。


「あるのかよ!」

「あのネジのぶっ飛んだ魔法ギルドの連中ならやりかねん。全て合点がいくだ」


 ヴァージニアも推理小説の犯人が分かったみたいに、「おー、なるほど」手の平に小槌を落とす。


 魔法ギルドこと魔導師連合組合は、大陸の魔法使いの総本山で、魔法の進歩の為にと、口実に夜な夜な妖しい魔法実験を行っているので有名だった。


「確かにそれだと、その変な格好も説明つくっちゃよ」

「うーん、まあ、そんなところなのかな。詳しくは分からないけど、いつの間にかのこんな訳の分からない事になっていた」


 ハルトは認めるが、何処か歯切れが悪い事に周りは気付かなかった。


「そんなことより本題」


 ハルトはとある大きな疑問を抱いていた。


「ここは戦場なのに何で君みたいな幼い女の子がそんな物騒な鎧を着ているのかな。この国は人材不足だと幼女でも矢面に立たなければならないの?」


 ここは子供の遊び場じゃないよと、言いたげだ。

 これがハルトが現実の世界と認識出来ない要因でもある。


 それに対し仲間達は目を合わして、「「「あはははははっ!」」」大爆笑した。

 大将を除いて。


「私は子供じゃないっちゃあぁぁぁぁ!」


 余程触れられたくない話題なのか、大音量のハニーボイスが反響する。

 副作用として驚いた虫や鳥を遠ざけた。


「そうだね、お嬢ちゃんは大人だね。よしよし」


 ハルトはお兄ちゃんとして子供をあやす仕草、癖毛のある薄い金色の頭を優しく撫でる。

 その素直な行動に兵士達は腹を抱えて転がった。


「私は十八歳だっちゃあぁぁ!」

「はははっ、僕より二歳上ってサバ読みすぎだよ、どうみても八歳――」

「チビなだけだっちゃぁ、死ねぇ!」

「ぶっろぉあぁぁ!」


 見た目八歳の飛び膝蹴りが、精神年齢八歳の腹をえぐった。


「「「頼むからこれ以上笑わさないでくれぇ!」」」


 漫才の大御所に負けず劣らずの鋭いボケツッコミで、笑いの渦が起きる。

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