見つかりました。
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
テケテケ音を出さず、静かに進んでいったテケテケは、やがてそれに行きあった。
廃墟を徘徊する亡霊のようなたたずまいの黒い人影。
<霊体系じゃな>
ルルスファルドが呟く。
髪も顔もない、人の輪郭だけを模したのっぺらぼうの人影だった。
人の体から伸びる影を立体にしたなら、こんな感じになるかも知れない。
腰には一本の剣のような影がある。
「これ?」
息を呑むセルトに確認すると、「はい」という返事が戻ってきた。
「これです」
ここで間違いないようだ。
黒い人影はテケテケには気付いていない。斬り捨てたそうな雰囲気を出しているテケテケに「まだ斬らないで」と言い含め、さらに探索を進めてもらう。
バッカニアの話によると、コボルトらしき姿は都市跡の中心あたりに見えるようだ。
静かに這い、時に転がり、時にポンポンと跳ねながら進んでいったテケテケは、やがてそこに行き着いた。
高い壁に囲まれた広場のような場所。そこに三〇ほどの黒い人影が集まっていた。
テケテケは広場を囲む壁に取りついてはい上り、その上から広場を見下ろした。
<おったな>
ルルスファルドが呟く。
広場の真ん中、すり鉢状にくぼんだ場所に、捕らえられたコボルトたちの姿が見えた。
鉄格子の代わりだろうか、上の方には石柱や石壁などが積み重ねられている。
「いました! リィフ様!」
セルトが尻尾を振って叫ぶ。
<まずは良かったが。いかんな>
ルルスファルドが背後を振り仰ぐ。
テケテケの後方視界が映っている方向。
そこに、背中に羽根を生やした黒い人影が浮いていた。
<見つかった>
人影は腰の剣を抜き、テケテケめがけて斬りかかる。
しかし、
――遅い。
テケテケの敵にはなりえない太刀行きだ。
――斬って。
ひゅぱん!
抜き打たれた偽一文字の一閃が、人影を真っ二つにたたき切る。
だが、人影は止まらなかった。
黒い人影は霊体系。幽霊のようなものらしい。
物理的な攻撃は意味が薄いようだ。
水面を切りつけたように元に戻りつつ、テケテケ目掛けて剣を振り下ろす。
しかし、
テケ。
紋章喰らいのテケテケの太刀行きは、黒い人影のそれを遙かに凌駕した。
電光石火で放たれた二の太刀が黒い人影の剣を受けとめ、音を立てて断ち切った。
決着は、それでついた。
黒い人影は、煙が収まるように色と形を失い、そのまますっとかき消えた。
テケテケの剣閃で断ち割られた黒い剣だけが、その場に残り、地面に落ちていく。
普通の剣ではなく、呪文のようなものがいっぱいに刻み込まれた木剣だった。
――あっちが本体?
人影そのものではなく、木剣のほうが本体だったのだろうか。
<式神のようじゃな。古呪術で使う使い魔じゃ>
ルルスファルドがつぶやき、人影たちが動き出す。
――いけない。
テケテケは大丈夫だろうが、捕まったコボルトたちに手を出されるとまずい。
「ここはお任せを」
大竜王ドーロは降下を開始する。
ドーロの降下速度では間に合わないかも知れない。
そう思ったが、ルルスファルドは<案ずるには及ばぬ>と言った。
<大竜王の名は、そこまで伊達ではない>
巨体に相応しい、ゆったりした速度で羽根を動かした大竜王ドーロは、そしてその一瞬あとには、その巨体を大地に鎮座させていた。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回更新はお昼の12時を予定しております。
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