合体させました。
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます。タイトルを試験的に変更しました)
巨大クリオネの頭の上から、リィフはそれを見上げた。
水神ヴァルナの加護のお陰で、海中でも息ができ、暗い水の中を見通せる。
膨れ上がっていく奇怪な肉塊。
その中に、時折、何かの文様のようなもの浮かび上がっているのが見えた。
「紋章?」
見たことのない種類だが『神槍紋』などと同じ紋章に見えた。
<『魔導紋』じゃな。暴走しておるようじゃ>
ルルスファルドは冷静な調子で言った。
特に驚いたり焦ったりしている様子はない。
「気付いてた? もしかして」
<なにか持っとるじゃろうとは思うとった。いくらそういう血統とはいえ、紋章もなしに、アプサラスを捕らえたりスキュラを作り出したりはできんじゃろう>
「言ってくれれば良かったのに」
暴走させずに済んだかも知れない。
<こうなることまでは、さすがに想定外じゃ。先にへそあたりの肉をえぐり取っておけば暴走せんかったかも知れんが、叔父御殿に、いきなりそれはやれんじゃろ>
まぁ確かに、難しい気がする。
<まぁ、かえってやりやすくなったような気もするがの>
浮かび上がりながら変形していく肉塊を見上げ、闇の賢者は悪い微笑みを浮かべた。
膨れ上がった肉塊から、無数の人の腕と触手が伸び、さらにマースールとマーサレナ、マレールのものらしき笑い声、うめき声、泣き声のようなものが響きはじめた。
悪夢の塊のような声と姿だった。
「この声、まずいよね」
紋章の作用、あるいはヴァルナの加護のおかげでリィフやスライム達、アプサラスは平気だが、なんの防護もなしに聞いたら頭がおかしくなりそうな気がする。
<うむ。海上に出る前に葬ったほうがいいじゃろう。いざとなればヴァルナがおるが、それはそれで面倒じゃ>
あとでごちゃごちゃと言われるのが面倒、という話だろう。
言われるのはたぶんルルスファルドひとり。
ひとごととみなしてもいいような気もするが、海中で決着をつけるべきなのは確かだろう。
「アプサラス様。手を貸していただけますか」
「はい」
マースールを暴走させてしまったことに責任を感じているようだ。
アプサラスは真剣な表情でうなずいた。
印を組み、呪を唱える。
oṃ vajrāyudha svāhā
(オーン ヴァジュラーユダ スヴァーハー)
金剛呪。
骸山で金剛杵や黄金の槍を作ったものと同じ呪だが、その時の十倍以上、巨人サイズの大光槍が海中に浮かび上がる。
けれど、暴走したマースールを止めるには、まだ足りない。
「【解放・トロピカルブルースライム、シルバーバレットスライム】」
テケテケ!
『転生賢者紋』から青と銀のスライムたちが現れる。
比重の重いシルバーバレットスライムたちが沈んで行きそうになるのを、トロピカルブルースライムたちが捕まえた。
「合体」
<ドリルシュトロームアタックじゃ>
ドリルシュトロームアタックというのは何のことかわからないが、リィフの頭の中のイメージをルルスファルドが言語化するとそういう言葉になるようだ。
リィフのざっくりしたイメージを、ルルスファルドが個別の指示として、瞬時にスライム達へと送り込む。
テケテケ!
スライム達が集まり、金剛槍とひとつになっていく。
十匹のトリシューラスライムは三叉銛を並べることで柄の軸を作り、トロピカルブルースライムたちに運ばれたシルバーバレットスライムたちが一つに合体し、銀の円錐状の穂を形作る。
最後にトロピカルブルースライムたちがトリシューラスライムの軸に取りついて柄になり、円錐穂の巨槍となった。
「アプサラス様、これを」
「……投げろ、と?」
アプサラスは戸惑い気味に言ったが、リィフが「はい」とうなずくと「わかりました」と応じて、巨大クリオネの触手を巨槍に巻き付けた。
「行きます!」
浮上する肉塊めがけ、巨大クリオネが巨槍を撃ち出す
テケテケ!
銀の穂先が黄金に輝き、回り始めた。
穂先の最先端に陣取った二号を中心に、シルバーバレットスライムたちが作った螺旋の回転穂。
リィフの金剛呪の力、十本の神銛トリシューラの力、百八匹のスライムたちの力を乗せた回転槍は、大渦を起こし、自ら推力を発生しながら加速、肉塊めがけて突き進む。
テーケーッ!
回転数が増すごとに、黄金の穂先は輝きを増していく。
テーケーテーケーーッ!
渦を巻き、深海の闇を消し飛ばし、恒星のように輝き飛んだスライム槍が、うごめき、笑い、呻く肉塊をとらえる。
そして、砕いた。
輝く槍は狂った肉塊を千々に引き裂き、聖なる光で浄化し、消し去っていく。
生じた渦は竜巻のように伸び、海面にまで届く。
肉塊を打ち砕いても、スライム槍は勢いを喪わない。
そのまま稲妻が天に遡るような勢いで水面より飛び出し、そこで、
テケテケ!
声を上げて分解した。
重力に捕まって落ちたスライムたちは、水面に落ちてぽんぽん跳ね、あるいはどぼんと水柱を上げて沈んでいって、再びリィフの『転生賢者紋』へと収容された。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回はごく短い更新を夕方16時に入れる予定です
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