水精アプサラス(1)
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
海中に浮いたアプサラスは、三面六臂のスキュラの姿を見下ろした。
三面の内二面は目や口を縫われている。
残っている顔は、かつてアプサラスを捕らえた魔女、マースールの顔だった。
アプサラスがやってきたのは、既に海上に降臨している水神ヴァルナの指図によるものだった。
「ここはおまえが始末をつけるのがよかろう」
ということで、ヴァルナが指名と加護を与えてくれた。
スキュラの一部として海を穢してしまったアプサラスに挽回の機会を与えようと考えたようだ。
リィフのほうにも「手を貸してやってくれ」と加護を与えていたので、もう少しリィフにちょっかいを出したいというのもあるようだが。
ヴァルナの加護を受けたリィフは、闇の賢者ルルスファルドと一緒にアプサラスが用意した二匹目のクリオネの上に乗っている。
最初から加護持ちの存在である十匹のトリシューラスライムも、リィフを取り巻く形で随行していた。
「ここまでです。マースール」
そう告げたアプサラスを見上げ、マースールは引きつったような笑みを浮かべた。
「ここまで? 何様のつもり? スキュラになって暴れ回ったのは貴方の一部よ。貴方になんの責任もないとでも思っているの?」
「それが、どうかしましたか?」
マースールの言うことにも、一定の真実はある。
スキュラの邪悪さには、アプサラスの中にある獣性に基づくところも確かにあった。
だが、そのことについて、マースールと語らう必要などない。
クリオネの頭を触手に変形させて三面六臂のスキュラを捕らえ、浄化の光を放つ。
今のマースールを構成しているのは、スキュラの体組織だ。
浄化、分解をしてしまえば、あとかたなく消え去るはずだ。
「あ、ぎゃあああああああーっ!」
マースールは絶叫、痙攣し、下半身の触手をのたうたせる。
マーサレナ、マレールの両者の口の縫い目も解け、マースールに唱和するように絶叫する。
だが、そこで、異変が始まった。
三面六臂のスキュラの体が、泡立つように膨張し始める。
――これは。
浄化の力による変化ではない。
浄化そのものはされているが、それ以上の勢いで、三面六臂のスキュラの体が膨らんでいく。
骨や内臓が破裂し、皮膚がやぶれ、三面六臂のスキュラは形を喪っていく。
抑えきれない。
<一度手放せ! 取り込まれるぞ!>
ルルスファルドの警告に従い、アプサラスはマースールだったもの、三面六臂のスキュラだった肉塊からクリオネの触手を引き戻した。
肉塊はおぞましいほどの勢いで膨れ上がりつつ、、ゆっくりと浮かび上がりはじめた。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回更新はお昼の予定です。
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