スキュラ(2)
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
刺胞の罠で一時は大竜王らを追い詰めたスキュラたちは、新手としてやってきたスライムと獣竜、クリオネの参戦によって、壊滅へと追い込まれていった。
特に、一部のスライムたちはスキュラの天敵としか言いようのない力を備えている。
銀色のスライム達の放つ光の槍や回転槍はかすっただけでスキュラを浄化、分解し、銛を持ったスライムたちに至っては地面から浄化力を持った聖水を湧き出させて周囲を地面ごと浄化してしまう。
刺胞の毒で戦闘力を奪ったはずの竜王族も次々と立ち上がり、再び空に舞い上がり、スキュラたちを駆逐していく。
三つ巴の乱戦となっていたなら、つけいる隙があったかも知れない。
しかし現実には、竜王族のリーダーである大竜王ドーロは、あっさりと新手のリーダーである陸人の少年に頭を垂れ、今はその陸人を頭に乗せて、兵達に指示を飛ばしている始末だった。
傲慢、獰悪で知られた竜王族にあるまじき挙動。
そのお陰で、竜王族と新手の衝突が起きることもなく、スキュラたちはただ駆逐され、殲滅されていった。
――終わった。
深い水底に潜み、大ムーア島の戦況を見守っていた三面六臂のスキュラは、そう結論づけざるを得なかった。
水神ヴァルナの介入が始まったところで、スキュラの命運は、ほぼ決していた。
スキュラには、水神ヴァルナの介入にあらがえるような力はない。
南海、および西海ではヴァルナ神への信仰が薄く、介入が困難であったから、猛威を振るい得た。
だが、その情勢が崩れた。
動けぬはずのヴァルナ神が顕現し、南海、西海への介入に乗り出した。
一週間も経たぬうちに、蔓延していたスキュラたちは全盛期の百分の一以下にまでその数を減らした。
ヴァルナ神の釣り針にかけられて、問答無用で浄化されるという、理不尽極まりないやり方で。
最後に残った住処が、大ムーア島だった。
特に思い入れがあったわけではないが、竜王族という、強力な寄生先があり、この力を利用することで、どうにかヴァルナの浄化に耐え、わずかに命脈を保つことができていた。
だがそれも、ここまでのようだった。
竜王族だけならばまだ多少はしのげたが、あのスライムたちと、あの陸人については手の打ちようがない。
神そのものであるヴァルナにはさすがに及ばないが、あの陸人は、聖性の怪物ともいうべき存在だった。
本来なら勢力圏外であったはずの南海、西海にヴァルナ神を顕現せしめたのは、あの陸人の仕業だろう。
それができるだけの聖性が、深淵からでも容易に感じ取れた。
こうなれば、打てる手は一つだけだ。
――深淵に。
より深い海に、あの陸人やヴァルナ神の手の届かぬ水底に身を潜め、時を待つ。
あの陸人は、時が経てば、老いて死ぬはずだ。
そうなれば、まだどうにかなるかも知れない。
あの陸人が去れば、ヴァルナ神の介入も止まるかも知れない。
たったひとりが呼びだした神ならば、そのひとりが去れば去るはずだ。
――深淵へ。
――しんえんへ。
ただそれだけを念じて、三面六臂のスキュラは潜る。
本来スキュラがいるべきでない水深。体、骨がきしんで、内臓が押しつぶされていく。
――痛い! 痛い! 苦しい! やめて! クソ! クソ! クソ女っ!
――うわぁぁぁぁぁ! ぎゃああああああああ!
狂い果てた二面の絶叫が、意識の中に響き続けていた。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回更新は夜の予定です。
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