巫女アルシード(1)
( ゜ー゜)テケテケ(前倒し更新でございます。試験的にタイトルを初期のものに戻していましたが、大きな数字の変化はないようですので再度短縮をいたしました)
慣れない寝床だったが、長い放浪で消耗していた。
気付けばアルシードは泥のように眠り込んでいた。
目が覚めたのは夕方頃。
枕元にいたスライムがテケテケ鳴いた。
アルシードと聖竜バッカニアの監視役としてつけられているものだが、実際にはそこまで警戒されている様子は感じられない。完全放置もなんなので、一応監視役をつけてみた、と行った雰囲気だった。
寝床を出て、マヨイガという建物を出る。
今身に着けているのは、普段のグリーングリフォンの衣装ではなく、島に居た不思議な機械人形が用意してくれた夜着だった。
島の波打ち際に出て、ヘドロの竜バッカニアのほうを見る。
その身に帯びた毒と酸で、アルシードのいる島を汚染してしまわないよう、距離を保っている。
「聖竜様」
距離はあるが、バッカニアは耳が良い。
長い首をゆっくり上げると、「具合はどうだ?」と問いかけてきた。
バッカニアがその身に帯びた毒は、側に居るアルシードの体をも蝕んでしまう。あのスライムに出会ったとき廃船の上にいたのも、バッカニアと直接接触することを防ぐためだ。
側に居れば身を蝕むが、離れていればスキュラの餌食。
アルシードとバッカニアは、そういう関係だった。
アルシードは仕方のないことと割り切っていたが、傷つける側であるバッカニアの側は、やはり気に病んでいるようだった。
「今日は、大分楽です」
バッカニアと離れていることと、リィフが唱えてくれたまじないのおかげだろう。
何もない島に草花を生やして果実を実らせてしまう、驚天動地の存在だ。まじないの力も常識を越えていた。
「そうか、良かった」
<とは言うても、大事に守り慈しんで来た娘じゃ、複雑なところではありそうじゃな>
どこからか、そんな声がした。
見回すと、アルシードの横に、桃色の髪をした童女の幽霊のようなものが浮いていた。
「なんだ、てめぇは」
バッカニアは警戒の声をあげる。
<やはりおぼえておらぬか>
幽霊はのんびりした口調で言った。
<儂の名はルルスファルド、通りすがりの『闇の賢者』の亡霊で、叔父御殿の姪じゃ>
「叔父御殿の、姪?」
――一体なんの説明に。
そんな疑問が脳裏をよぎった。
<最初からずっと、叔父御殿にひっついて浮いとったんじゃが、気付かなかったかや?>
そう言われて、少し納得した。
はっきりとわかったわけではないが、リィフの側に、なにかいるような雰囲気があった。
リィフ自身もまた、何かと相談しながらアルシードやバッカニアとの話を進めているような気配があった。
「何の用だ。幽霊」
バッカニアが海鳴りのようにうなる。
<ここに来るまでの、お主らの事情を聞いておこうと思ってな>
ルルスファルドは鷹揚に応じる。
<わかるとは思うが、儂の叔父御殿は素晴らしく人が良い。他人の事情を根掘り葉掘り聞くような才能が綺麗さっぱりない。そこで、ちぃとばかり根性の悪い儂の出番と言うわけじゃ>
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回更新は昼の予定です。
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