↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僧院育ちの少年は『神槍紋』『転生賢者紋』を得てぐぅ聖オバケになりました。  作者: 今
旅の支度

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/147

副僧院長シン(3)

( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)

 リィフとの戦いに敗れ、気を失ったシンが目覚めたのは、その翌日のことだった。

 ベリスに押しつける形になっていた侯爵ジュノー快癒祈願の祈祷の声は聞こえない。

 まだ夜明け前、縁側に出ると、ベリスが庭で木槍を振っていた。


「気がついたみたいね。気分はどう?」


「悪くはない」


 良くもないが、悪くもない。

 落ち着いた気分ではあった。

 盛大に漏らした糞便は清められていた。


「そこに座ってなさい。白湯をもらってくるわ」


 そう告げたベリスは厨房から白湯の湯飲みを取ってきて、シンに渡した。


「ボロ負けしたみたいね」


「ボロ負けはしていない」


「違うの?」


「勝負にさえならなかった」


 恐らくは、倒そうとすらされていなかった。

 ただ、排除された。

 僧堂に入り込んだ虫でも追い出すように。


「強かったでしょ? 私より」


「ああ」


 あれでは、ベリスでも勝てないだろう。

 人の技がおよぶ存在ではない。

 それでもベリスなら、と思うところはあるが、ベリス自身が言うとおり、「色々見直す」必要はあるだろう。


「認められるのもちょっとシャクね」


「貴様が言ったことだ」


 シンはにやりとして、夜明け前の空を見る。


「他の連中はどうしている?」


「死人と怪我人は出てないわ。何人か逃げたけど」


「逃げた?」


「貴方を放って逃げた連中。貴方が生きて帰っちゃったから、粛正されると思ったんじゃない?」


「そうか」


 それ以上の言葉は出てこなかった。

 昨日までのシンならば怒り狂っていたところだが、今のシンには「仕方がない」と思えた。

 取り巻きの僧達が逃げたのは、シンという男が、信じるに値せぬ男だったからだ。

 命を預けるに値するものを、見せることができなかったからだ。


「一体、なんだ? あのお力(・・)は」


「なにかの紋章を持ってるのは間違いないわね。なにか相当ヤバいのを」


「リィフ様(・)は、紋なしだったはずだ」


「……さま?」


「おかしくはあるまい。リィフ様は還俗して、リトルバードの領主となられた。立派な貴族だ」


「そう」


 ベリスは微苦笑するような表情を見せた。


「紋章は、持ってたと思うわ。最初からおかしかったのよ、目とカンのよさと、実際の強さがかみ合ってなかった」


「どういうことだ?」


「聞いた話だけど、紋章の力を封印する方法があるみたいなのよね。たぶん、それだと思うわ。なにかの原因で、その封印が解けた」


「なにかの原因?」


「魔道とか」


「混ぜ返すな」


 シンは憤然と言った。

 魔道に落ちたのは、リィフではなく、自分だった。

 他人を邪悪だと、魔道だと決めつけることこそが、真の魔道なのだろう。

 リィフと向き合い、敗北した今は、それを自覚することができた。


「まぁ冗談はおいといて、そのへんのことはわからないわ。リィフ自身も教えてくれなかったし、ただ」


「ただ?」


「リィフの紋章が封印されていたなら、怪しいのは侯爵様でしょうね」


「かも知れんな」


 リィフが強い力を持つことで不利益を被るものがいるとすれば『戦士紋』を持つ次期侯爵カイトだ。

 リィフより五歳上の一九歳だが、人格も能力も、今のリィフには全く及ばない。カイトの父であるジュノーからすれば、脅威以外の何者でもないだろう。


「それで、相談があるのだけれど」


「なんだ」


「リィフの紋章のことを、黙っていてくれないかしら」


「意味が無いだろう。目撃者が多い」


 リィフが見せた力は、シンが連れて行った僧侶達、それにカマルの住人たちが見ている。

 シンが黙っていたところで、いずれ噂は広がるだろう。


「それでも、私や貴方が報告をあげるよりは時間が稼げるはずよ。僧院の皆には、私から口止めをしてあるしね」


「なにがしたい」


「侯爵様に、リィフを追わせたくないの」


「侯爵家の手の者に、今のリィフ様を止められる奴がいるとは思えんが」


 マールゥト侯爵家最強の戦士と言えば、『戦士紋』を持つ長子カイト。

 あとは『剣客紋』を持つ使い手がいるという話を聞いたが、女房と間男に寝首をかかれて死んだらしい。

 なんにせよ、今のリィフには歯が立たないだろう。


「ええ」


 ベリスは首肯する。


「ただ、彼を失望させるだけのことになるわ。侯爵家や世の中に。それで彼が魔道に走るとは思わないけど、世捨て人にはなっちゃうかも知れない。それはちょっと、勿体ないと思うの。きっと彼は、この世界を変えてくれる」


「どんな風にだ?」


「わからないけれど、きっと、なにかが変わるわ。この国も、侯爵領も、この僧院も、きっと、もっと面白くなる」


「ここもか」


「ええ」


 ベリスは微笑む。


「わかったでしょう? この僧院の秩序なんて、ちょっと大きな風が吹いたら簡単に壊れる。気に入らない相手が現れたら力で圧殺しようとする。だけど、本当に強い相手が出てきたら、仲間も捨てて逃げ散っていく。それが立派な僧院の、いい大人たちのあり方だと思う? そんなのしか育てられなかったのよ、私も貴方も」


「おまえに後進を育てる意志があったのか?」


「なかったわ、ぜんぜん」


 ベリスは肩をすくめて言った。


「いい男がいて、自分が強くなれれば、それだけで良かった。でも、リィフに負けて、恥ずかしくなった。彼が今の私くらいになったら、ちゃんと周りを導くんだろうなって思って。だから、もうちょっと、ちゃんとしなくちゃって思うの」

( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)


そろそろ作者の執筆力が怪しくなって参りましたので、当面朝更新はお休み、原則12時、20時更新とさせていただきます。


次回は明日昼更新の予定です。


「面白かった」「もう少し読んでもいい」と感じて頂けましたら

『ブックマーク』のところや、その下の☆☆☆☆☆の評価部分をテケテケと叩いて頂けると執筆者の執筆力が再びチャージされてまいりますので、よろしければご支援をお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] また悟り力でぶん殴ってる… [一言] 知っているのか雷電になりそう僧だけに
[一言] テケテケー(立つ鳥が跡を掃き清めるが如し) テケテケー(まことにぐう聖)
[一言] 変態と雑魚が訳知り顔の解説者ポジに収まりつつあるwww これがぐう聖の力か
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。