刀を作りました。
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
食事を終え、部屋に引っ込んだリィフとルルスファルドは、アーシュから買い取った鋼の塊を紋章から出した。
ついでにテケテケとグールスライムも出し、別に買っておいた飼い葉や果物を食べさせる。
グールスライムは全部出すとさすがに多すぎるので交代制である。
数は多いが、そこまで大食いの生き物ではない。餌代の心配は当分ないだろう。
ルルスファルドの言葉によると、
<大きな草原でもあれば、そこで飼い葉をあつめて置けば良い>
とのことである。
床が抜けてしまわないよう空中に鋼を浮かべたルルスファルドは続けて骸山で拾っておいたテケテケの大剣を『転生賢者紋』からリィフに引っ張り出させた。
光の十字槍の一撃を食らって穴を開けられ、曲がってしまっている。
<行けそうじゃな>
空中に浮いた大剣が光の粒子となり、内部の魔導体回路だけを残して消える。
続いてルルスファルドは、傍らの鋼の塊に手を触れた。
鋼の塊が光を放ち、輝く粒子の集まりに変わる。
粘土でも取るように、その一部をちぎり取ったルルスファルドは、大剣の魔導体回路の上に盛り付けるようにして、一本の刀剣の姿を作っていく。
粘土細工のような、あるいは陶工のような手つきで光の粒子を加工し、成形していったルルスファルドは、<こんなところじゃろう>と呟いて、光の剣を一振りする。
光の粒子が元の鋼に戻り、一振りの剣、いや、片刃の刀となった。
テケ!
テケテケ!
テケテケとグールスライム達が驚いたような声をあげ、飛び跳ねた。
<跳ねるでない>
微笑みながらスライムたちをたしなめたルルスファルドは、別に買っておいた白木の板とヒモを使って刀に柄をつけると、テケテケに向かって差し出した。
<これでどうじゃ?>
刀を受けとったテケテケは、すすと後方に下がると、ひゅぱんと風を切り、斬撃を繰り出した。
瞬きの間に、十六回。
人が正面に居たならば、今頃肉の山だろう。
広い部屋ではあるが、変なところを傷つけてもいない。
「すごい」
『神槍紋』があったとはいえ、よくこんなものと渡り合えたものだ。
納得が行ったのか、あるいは褒められてうれしかったのかわからないが、すっと刀を戻したテケテケは、テケテケと声をあげながら、ゆらゆらと身体をゆらした。
<良いようじゃな。仕上げるとしよう>
続いてリィフに木材を出させたルルスファルドは、やはり粘土細工のようにして白木の鞘を作ると、最後にその刀身に不思議な文字を一文字書いた。
「なんて書いたの?」
<偽じゃ、昔見た名刀の偽物なのでな。名前は偽一文字としておこう。お主の刀じゃ、大事に使うがよい>
そう言いながら、ルルスファルドは偽一文字をテケテケの頭に乗せた。
テケテケ!
嬉しそうに声をあげて跳ねたテケテケは、偽一文字を乗せたまま窓のほうに滑っていった。
外に出たいのかと思ったが、違うようだ。
往来の向こうから、見覚えのある一団がやってくるのが見えた。
頭巾をかぶり、真槍で武装をした二〇人ほどの僧侶達。
マイス僧院の僧兵たちのようだ。
先頭には、副僧院長のシンの姿がある。
ベリスはいないようだった。
<売僧僧院の連中か、強訴かや?>
リィフの頭に頬杖をつき、ルルスファルドは呟いた。
武装した僧侶が貴族や王宮などに押しかけて訴えをすることを強訴というらしい。
宗教勢力が今より強かった時代の話で、今では聞かないが、昔は結構あったらしい。
――強訴はやってないはずだけど。
とはいえ大分殺気立っているようだ。
リィフのいる宿屋に向けて、まっすぐ迫ってくる。
――なんだろう。
<叔父御殿が狙いじゃろう。だいぶ面子を潰したからのう>
ルルスファルドはこともなげに言った。
そんなまさか、と言いたいところだが、否定する材料も見当たらなかった。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回は夜更新の予定です。
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