鋼を引き取りました。
( ゜ー゜)テケテケ(更新でございます)
マールゥト邸を引き上げたリィフは、アーシュから指定された宿に向かった。
アーシュたち商業ギルドの面々は、リィフよりもすることが多い、代金は持つので宿で待っていて欲しいとのことだった。
宿にチェックインすると、結構立派な部屋に通された。
いわゆる賓客待遇らしい。
特にすることもないので、宿の食堂で軽食を取る。
僧院暮らしが長いので、肉食の習慣はない。
芋とスープだけを貰って食べる。
<スープの出汁に骨が入っておるようじゃが良いのか?>
――出てきたものは食べるよ。
僧院のメニューにはさすがに出てこないが、外で出されたものに肉や魚が入っている分には問題ない。
<還俗したのじゃから肉を食え。まだ若いんじゃぞ>
――そのうちにね。
今はまだ覚悟がない。
そんな話をしていると、思ったより早く、アーシュと商人達が顔を見せた。
「フェロート(すみません)、お待たせいたしました。リィフ様」
「おつかれさまです。どうでしたか?」
「ハイ、おかげさまで問題なく」
アーシュは無邪気な表情でうなずいた。
「ズミノ達があんまりにも素直なのと、尊いだのてぇてぇだのいうもんでかえって混乱しましたがね」
アーシュの仲間の一人であるドングという大男が言った。
猿の獣人の血が入っており、普通の人間には聞こえない獣人笛が聞き取れるのだそうだ。
カマルに派遣された商人ギルドの監察のリーダー格らしい。
戦闘能力においては他のメンバーが束になっても紋章持ちのアーシュには遠く及ばないので、邪魔にならないよう後方に回っていたそうだ。
「そうですか」
尊いと言われても反応しにくい。曖昧にそう答えた。
「明日にはズミノ達を連れて、マングラルへ帰れそうです。リィフ様は、リトルバードに向かわれるのですよね」
「はい」
「よろしければ、マングラルまでお送りさせていただけないでしょうか。マングラルまでは同じ道になりますので」
「いいんですか?」
「ハイ、せっかくのご縁ですので」
アーシュは尻尾を振るような勢いで言った。
実際、アーシュの腰の後ろあたりで何か動いているような気がする。
――なんだろう。
アーシュは紋章持ちのようだが、腕ではなく、腰のあたりにあるらしい。
その紋章の働きなのだろうが、どういう紋章なのか、さっぱりわからなかった。
<『魔性紋』の類じゃろう>
――どういう紋章?
<魔物の力をもたらす紋章じゃな、竜の力をもたらす『竜王紋』、精霊の力をもたらす『精霊紋』などが有名どころじゃ。大雑把な分類としての呼び名ゆえ、具体的にどういうものかはまだわからぬがな>
色々な紋章があるらしい。
まぁともかく、折角の厚意である。
素直に受けておくことにした。
ついでにアーシュの鋼を受け取り、代金を支払った。
「持ち運びはどうなさるおつもりで? 馬車に積み込みますか」
ドングが心配げに言った。
「いえ、収容術を使います」
鋼にマークをつけたリィフは、アーシュ達を待っていた間に用意しておいた御札を鋼の上にのせ、小声で【収容・鋼材】とささやいた。
1トンの鋼の塊が光の粒子に変わり、『転生賢者紋』に吸い込まれて消える。
「消えたっ!」
アーシャ、ドングたちが目を丸くする。
「一体何を」
「収容術という魔法です。物品を御札の中に閉じ込めて持ち運ぶことができます」
そんな魔法は使えないが、『紋章にしまっています』という説明をするわけにもいかないので、表向きは『御札にしまいました』と、いうことにした。
「凄い魔法です」
アーシャがほうっとため息をつく。
「一体どこで教わったのですか?」
「それについては、伏せさせてください。僧侶が魔法を使うのは、あまり褒められたことではありませんので」
あまりしつこく問われるようなら、逃げてしまうしかないところだが、幸い、無理に聞き出そうとするような者はいなかった。
( ゜ー゜)テケテケ(お読み頂き有り難うございました)
次回は昼更新の予定です。
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