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ゼロの軌跡(白の系譜)  作者: リィズ・ブランディシュカ
第1章 人工神格製造
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第1話 親を失った少女と、親から逃げた少女



 血まみれの部屋をある少女が覗き込んでいた。


 他に人はいない、覗き込む少女が一人だけ。


 月色の瞳の少女が、室内の惨状に目を見張る。


 そこにあったのは血だまり。


 そして死体。


 その死体にすがって嘆く少女。


 父親と、母親らしき人間は息をしていない。


 その子供らしき少女は、悲しみで声を殺しながらないている。


 目撃者は、その光景をやがては忘れてしまう。


 夢で見た光景だと判断して、記憶から消してしまう。






 少女の名前は、スフレフィクション・アンサードール。


 幼いながらも聡明で、その腕を買われ、研究所に勤めている少女。


 少女の両親は聡明で頭がよく、成績もよい。


 だが、人の心の分からない研究者であった。


 そのため自分達の子供の相手をしたことがない。


 だから、研究所内をうろつき、手伝いをしていたスフレは、親の顔もろくに覚えてはいなかった。


 彼らがやっていた事だけは覚えていても。


 彼女はそれから何年も、自分が手伝った仕事の数々に罪悪感を抱く事になる。


 その結果少女はハルジオンにながれつき、人々のために活動することをきめたのだった。


 全て、罪滅ぼしのために。


 両親はそんなスフレがいつからかいなくなったと気づいても、探そうとはしなかった。


 子供を作ってはみたものの、それは彼らの興味をひくようなものではないと、判明したからだ。






 どこかの路地裏で、小石をはじいて、数字を数えていたスフレ。


 彼女に声をかけたのは、ハルジオンのリーダーだ。


 主婦をしていた方が似合うとよく言われる女性。


 彼女はスフレに手を出しだす。


「行くところがないなら、うちに来なさい」


 スフレは「いいのですか?」と視線をおくる。


「当然よ。私は、あなたみたいな人を、困っている人たちを助けるために活動しているのだから」


 スフレは差し出された手をとり、ハルジオンに入る。


 それがスフレがハルジオンで歩む時間の第一歩だった。




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