第8話 お留守番
朝早く。
お見送りを済ませた私は、ふぁあ、とあくびをした。
とっても眠いけど、今は横になる気分じゃないかな。
だって、これからみんなは大変なお仕事になるんだから。
無事に帰ってきてほしいな。
またエリオみたいに誰かがいなくなっちゃうのは嫌だ。
それで居残り組は私とエリーシアだけ。
私もエリーシアも戦えない人間だから。
せめて、魔法が使えればよかったけど、それもできない詩。
エリオはたまに仕事についていく事があったのに、エリーシアは一度もそういうのには手を出していない。
そういうところを見ちゃうと、なんでエリーシアがこのギルドにいるんだろうって思っちゃう。
そこはエリオの居場所なのに。
エリオ以外にいてほしくないって。
そんなの、理不尽な思いだってことくらい私には分かる。
でも、感情は理屈じゃ納得できないからだ。
皆がいなくなって、静かなギルドの中で、私はお勉強。
この世界の文字を、読み書きできるようにノートに書き写していた。
するとそこに、エリーシアが話しかけて来た。
「はわっ、シノンさん。勉強はどうですか? はわわっ、ちゃんと進んでいますかぁ? お勉強は大事ですからねっ」
「ちゃんとやってるもん」
話したくない、そう思って私はつい冷たい態度になっちゃう。
だって、口を開いたら、悪い事を言ってしまいそうで怖かった。
私のせいでエリオは死んだ。
だから、私がエリーシアに何かを言う権利はないのに。




