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第1話 新しい朝
大切な人がいなくなったとしても、世界は何も変わらない。
当たり前のように朝が来て、夜が来て、他の人は起きたり、眠ったり。
心を壊すような一大事なんて、その人とその人の周り以外には、意外と影響しないもの。
だから、世界はいつも平和だった。
平和でいられた。
一人の心の痛みなんて平等に目を向けていたら、世界はきっともたないだろう。
人に寄り添うって心を痛める事は美徳だけれど、それでは世界はもたないだろう。
だから、他の人を薄情だと罵るのは間違いだ。
心のない人間だと断じるのはおかしな事だろう。
けれど。
それでも。
私はそんな当たり前の世界が、どうしようもなく嫌だ。
エリオが、あのエリオがいなくなったのに。
変わらずにやってくる平和な日々が嫌いだ。




