悪役令嬢と魔王の結婚 最終話
初投稿、最後の話となりました。
最後までお楽しみください。
結婚の儀は、魔族の貴族らを集め、厳かに魔王城で行われる。
結婚の儀の時にしか開かない婚姻の間に、貴族たちが恭しく跪き、魔王と后が扉から現れるのを今か今かと待ち望んでいた。
厳かな曲と共に、扉から開く。
その瞬間、魔族の貴族たちは震え上がった。
魔王から放たれるあまりの魔力の強さに、気を失わないように耐えるのがやっとだ。
だが、さすがだ。
魔王の后は魔力などものともしていない様子である。
その姿に、些か人間との結婚を不満に思っていた者たちも口を閉じた。
まぁ実際は、魔力をもたないゆえに、魔王が本気で気配を探知しようとした時くらいしか魔力を感じることすら出来ないだけなのだが。
それを魔族は知らないがゆえ、功を奏した。
祭壇の前で、リナリーとシバは向き合った。
二人は手を重ね合わせる。
「我、魔王の名を継ぎしシバ・ロイはこの者、リナリー・ガボットを后に迎え入れることをここに誓約する。」
「私、リナリー・ガボットは、ガボットの性から抜け、ロイ性を賜り、魔王の后となることをここに誓約する。」
二人は額と額を重ね合わせて言葉を紡ぐ。
『この地に住まいし魔族の父となり、母となり、守護者となる事を誓、共に生を歩み、歩みを止めるまで唯一無二と定める事をここに宣言する。』
『魔王様万歳!お后様万歳!永久の栄光を!』
皆が声をあげる。
歓喜にその場が満たされる。
「リナリー。国民のところへ行こう。」
「その前にシバ様、その魔力を抑えてください。リナリー様との結婚が嬉しくてはしゃいでるのはわかりますが、それでは一般市民に被害がでます。」
ロデリックの言葉にシバはバツが悪げに眉間にシワをよせた。
だが、リナリーの一言で雰囲気は一転する。
「それは大変ですわ。私、シバ様と愛し合って結婚したのだと、后となって魔族の為に頑張ると国民に誓いますのに、被害が出ては、、、困りますわ。」
その瞬間威圧的な魔力が霧散し、部屋に花吹雪が可憐に舞う。
皆が驚きの声をもらした。
「あぁ、リナリー。嬉しいことを言わないでくれ。抱きしめたくなる。」
「はいはい。後でたっぷりどうぞ。さぁ、お披露目ですよ!」
城のバルコニーに移動し、二人が姿を現した瞬間町中から歓声が湧いた。
広場には人からひしめき合い、お祭り騒ぎである。
「すごい人、、、。」
「皆が祝ってくれているのだ。、、リナリー。国民がリナリーをなんと噂しているか知っているか?」
「え?、、どんな噂ですの?」
「美しい銀の髪と星空の瞳を持つ、幸せを運ぶ天使だと。リナリーにぴったりだな!」
魔族の国なのに、嫁が天使でもいいのだろうか。
「リナリー皆に手を振ってやってくれ。」
「はい。みなさん!私、頑張りますわ!よろしくお願いいたします!」
リナリーはそう声をあげた。
シバはうれしげに、愛おしげにリナリーを見つめる。
「リナリー。愛している。これならずっと側にいてくれ。」
リナリーは笑った。
「私も愛しております!ずっとずっと側におりますわ。」
二人は見つめ合いキスをした。
歓声がよりいっそうあがり、その日は一日中お祭り騒ぎとなった。
始めは嘘から悪役令嬢になり魔族の国へ来てしまったリナリーであったが、今では悪役令嬢になれたことが幸福としか思えない。
「私幸せですわ!」
悪役令嬢は魔王と結婚して、末永く幸せに暮らしたと言うことです。
おしまい
めでたし、めでたし。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
誤字脱字等ありましたが、あたたかく読んでいただけて嬉しかったです。




