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どなたか王様の秘書セバスチャンを知りませんか?  作者: 蜜柑缶


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135 ロージーの幸せ4

ブクマありがとうございます!!!


明日で最終回です。

 キキは働いている。弟のニコロが怪我をしたときに助けを求めてジョバンニを訪ねたらしい。ジョバンニは宿を経営しながら私から提供しているお金を孤児に貸し出す仕事をしてもらっていてそれでキキにお金を貸し出した。

 ニコロは無事に怪我が治ったが出来た借金を返すためにジョバンニは働けるところを探してやり今は彼の宿屋の使いっぱしりとなんでも屋の使いっぱしりをかけ持ちしているらしい。

 

「私はいつか借金が無くなったらニコロと一緒に働けるところを探してここを出るつもりなの。よそに行けば子供でも働けるところがあるってジョバンニさんも言ってた」

 

 思いがけず再会したキキと別れたがきっと近い将来ニコロ共々私の農場にやって来そうだ。

 

 

 

 再び馬車を走らせ王都を出るための検問に並んでいた。朝から長い列が出来ておりなかなか進まない。

 

「変ですね、いつもなら出る検問はここまで待たされる事はありませんのに」

 

 エリーが馬車の窓から顔を出し前の方をうかがう。別に急ぐ旅では無いがなんとなく王都は早く出たい。じっと馬車の中で待っていると少しずつ列が進み私達の順番が回って来た。

 検問をしている騎士らしき人が御者にいくつか質問すると馬車が誘導され列から外れた所へ連れて行かれた。

 

「何かあったのかしら?」

 

 エリーと顔を見合わせていると何やら外が騒がしくなり馬が走ってくる音が聞こえた。

 

 え?まさか……

 

「どこだ?アレかぁ!!」

 

 バタバタと駆け寄る音がしたかと思った瞬間、馬車のドアが乱暴に開けらタイラーが乗り込んできた。

 

「そうそう何度も黙って逃げきれると思うなよ!」

 

 かなりお怒り気味のタイラーを見てルーとエリーが素早く立ち上がるとサッサと出ていった。

 

 ま、待って!!こんな状況に独りぼっちにしないで!

 

 すがろうと思った最後の頼みの綱のパフもいつの間にかいなくなって馬車のドアが閉められると彼と二人きりになった。

 

「それで、一体どういうつもりだ」

 

 低く抑え気味のタイラーの声がより一層怖さを増している。

 

「どういうって、だって私は」

 

「だってじゃない!!何度勝手なことをするなと言えばわかる」

 

 あまりの怒りようにちょっとムッとしてきた。

 

「勝手って言うけど私が何をしようと私の自由だわ」

 

 そう言うとタイラーは更に怒ったような顔をして私をぎゅっと抱きしめた。

 

「自由にしていいけど、黙っていなくなるな」

 

 優しい声でそう言われ強く抱きしめられ胸が痛む。

 

「だって……ここに居ることは出来ないわ」

 

 ここにいれば王命に逆らうことになるし、タイラーの邪魔になる。抱きしめられた手が緩められると彼は私から体を離した。目の前に跪くとそっと指輪を差し出した。

 

「ロージー、オレと結婚してくれ」

 

 あまりの事に呆気にとられ固まってしまった私の手に彼は優しく触れた。

 

「だって婚約は解消したのよ」

 

「これは婚約じゃなくて結婚」

 

 そう言って私の指に美しい赤い石がついた指輪をつける。

 

「でもタイラーにはレオニーが……」

 

 ガックリと頭を下げてため息をつかれた。

 

「何度言えばわかるんだ、あいつは関係無い。第一レオニーは結婚して、子供もいる。勿論相手はオレじゃない。それに、他に誰かいるのにロージーにキスしたり抱いたりしない」

 

「いやぁーー!待って、そんなハッキリと言わなくてもいい」

 

 恥ずかしさで頭がクラクラしてきた。もう会えないと思っての夜這い(あれ)だったのに。

 

「ハッキリ言わないとまた誤解されそうだからな。とにかく直ぐには無理だが出来るだけ早くロージーの側にいられるようにするから屋敷で待っててくれ、いいな?」

 

 はめられた指輪をじっと見つめてその美しさに見惚れてしまう。あの借り物のネックレスと同じ石な気がするが気の所為だろう。だけどこのまま押し切られていいのかな。

 

「でも私と結婚なんて、タイラーの邪魔に」

 

 彼は顔をしかめるとむぎゅっと私の頬を両手で押える。

 

「ロージーは『でも』と『だって』が多すぎる。オレは平民なんだからそういうしがらみは気にしない。ロージーといることで騎士団にいずらいなら今すぐにでも辞めてやる。もともと城で働くなんて性に合わない。仲間たちの最初の望みは叶えたんだしむしろ辞め時だろ」

 

 笑顔で言い切られ本気なんだと思った。

 

「これでいいな」

 

 なんだか彼の言いなりのようでちょっと嫌だ。

 

「私はまだプロポーズの返事をしてないわ」

 

「まさか嫌なのか?」

 

 ちょっと焦った顔が可愛くて笑ってしまった。

 

「いいわ、タイラーと結婚する」

 

 そっと頬にキスするとタイラーがホッとしてまた私を抱きしめくちびるにキスをした。直ぐに離れたので体を離そうとすると今度はオデコにキスされ次は頬にキスをする。

 

 タイラー……?

 

 耳にキスされてゾワゾワするとそのまま首筋にくちびるをつける。

 

「駄目よ、外で皆を待たせてる」

 

 このままここで押し倒されそうになって彼を押し退けた。

 

「少しくらい待たせとけ、オレはずっと我慢してたんだ」

 

 再びキスしようとする彼の口を手で塞ぐがそれでもグッと押し倒してくる。

 

「ここじゃ嫌、恥ずかしいわ」

 

 熱い顔でイヤイヤと首を振るとタイラーは力無く俯いた。

 

「くぅ~、可愛すぎる」

 

 やっと諦めたのか私を起こすと馬車のドアを開けた。

 私の顔はもうこれ以上ないほど熱くなっていた。

 

 みんなを追い出して馬車で二人っきりになるなんて恥ずかしいと思っていたが、外へ出ると誰もこちらを気にしておらず、人集りの真ん中にエリーがいてその前にレーンが跪きキャーキャー騒がれていた。

 

「エリー待っててくれ、出来るだけ早く一緒に暮らせるようにするから」

 

 なんだかどこかで聞いたセリフだ。タイラーを見上げると嫌そうな顔していた。

 

「待たせすぎたら他の人と結婚するわ」

 

 エリーは可愛い笑顔でキッパリ言い切る。私とは大違いの男前な返事な気がする。

 

「エリーの彼氏ってレーンだったの?」

 

 驚いていると私達が馬車から出てきたことに気づいたルーがホッとしたような顔を見せた。

 

「あんまり遅いので検問を越えるかと思いましたよ、タイラー様」

 

 どうやらルーが私の出発を知らせてタイラーが検問で足止めをさせていたらしい。職権乱用じゃない?

 

「あぁ、すまん。これを買っていたんだ」

 

 私の指にはめられた美しい指輪を改めて見た。

 

「よくこんな時間にお店が開いてたわね」

 

 タイラーはニヤリと笑う。

 

「調達屋のアントンがどこかから聞きつけてきたのか門の外でカバン持って待ち構えていたんだ。気が利くというか抜け目ないというか」

 

「アントンがタイラーの調達屋だったの?私が魔物を売っていたのもアントンよ!」

 

 私の言葉にタイラーは大きく息を吐いた。

 

「やられたな、ロージーと取引があるだなんて聞いてない。タイミングが良すぎると思ったよ」

 

 レーンとエリーを囲む人達の中から見覚えのある男が素早く出てくると持っていた鞄を開けて見せた。レーンはエリーに好きなのを選ぶように言うとその中からエリーは青い石がついた指輪を選び、レーンに指にはめてもらっていた。

 

「またやってるよ」

 

 どうやら二人も結婚するらしい。ひと仕事終えたアントンが私達の方へ近づいて来た。

 

「久しぶりだなロージー、タイラー。結婚おめでとう」

 

 おめでとうと言われなんだか少し実感がわいた。

 

「結婚パーティやるなら準備は任せろ」

 

 アントンはやっぱり気が利いて抜け目がない。

 

 

 

 また馬車に乗り込むと窓から顔を出しタイラーとの別れを惜しむ。後ろではエリーがレーンとの別れを惜しんでいるようだ。

 

「道中気をつけてな、あまり魔物が多いとこに行くな、体に気をつけろ、それから浮気するなよ」

 

「む、タイラーこそ。女中に気をつけてよ」

 

「ぐっ、オレは何もしてないぞ、ロージーだけだ。第一オレにはお目付け役がいるだろ、パフ行くぞ」

 

 タイラーが馬に乗りパフを呼ぶ。

 

「ポッポ」(なぜ私がお前の命令を聞かねばならぬのだ)

 

 私はもうひとりパフを呼び出すとひとりをタイラーの側に向かわせた。

 

「パフ、タイラーをお願いね」

 

「ポッポ」(ロージーの頼みとあらば仕方ないのう)

 

 パフが軽やかに飛び立つとタイラーと一緒に城の方へ向かった。私達が乗った馬車も検問を抜けると軽快に走り出しヘクターが待つ屋敷へ向かった。

 

 馬車の中でルーにさっきの話を確かめた。

 

「どうしてタイラーに知らせてくれたの?」

 

 ルーは得意気に胸を張っる。

 

「私はお嬢様の事は何でもわかっておりますから。あのままでは屋敷で泣き暮らすに違いないと思いお知らせしました。まさかお嬢様と閨を共にしてそのままというわけにはいきませんからね。キッチリと責任を取って頂かないと」

 

 もしかしなくてもルーにもバレてたの!?恥ずかしくていたたまれないよ。

 

 でもすっごく幸せ……

 

 

 

 

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