ゲームのお時間です3
「「「「「「「ボードゲーム?」」」」」」」
俺の提案に、女性陣全員が同時に復唱した。
「そう、ボードゲーム。ほらっ、よくあるじゃん。すごろくのボードゲーム。あれだよ」
「あーっ、結衣さんもやったことあるよ! 楽しいよねっ」
はじけるような笑顔で言ってきた結衣は俺の右腕に抱きついていた。
なんかみんなの視線が刺さるけど、結衣の胸が気持ちいいからよしとしよう。
「でもすごろくなんてどこにあるの?」
「ちょっと待ってて。部屋から取ってくるから」
るみかちゃんに返事をしつつ立ち上がると、俺は1人で自室のある2階へと向かう。クローゼットをあさり目的の物を取り出すと、再びリビングへと戻りテーブルに広げた。
みんなの怪訝そうな顔に、俺はまあそうだよなと1人で納得。それもそうだ、何せ俺の手作りなのだから。
やべー、なんかワクワクしてきた。髪が逆立って金髪にでもなる勢いだゾ。
「お待たせ、準備できたぜ」
「……何よこれ?」
誰よりも眉根を寄せて嫌そうな表情の凛が呟くように質問する。
「これは俺の自作すごろく、名付けて『俺様ゲーム』!」
「イェーイっ!」
俺の拍手にノッてくれる結衣。
なんていい子なんだ。あとでお菓子をあげよう。
「どうしてかしら、何故か凄く嫌な印象を受けたわ」
「奇遇ですね、私も嫌な予感がします」
西園寺の台詞に賛同するひまり。
なんだよ。そんな嫌そうな眼で見なくたっていいじゃんか。お前たちにはお菓子はあげません。
「結衣、お菓子は結衣だけだからな」
「ん? うんっ、ありがと?」
小首を傾げた後に笑顔で礼を言う結衣。けれどその言葉のニュアンスに疑問感が含まれていた。
そりゃそうだ、なんの脈絡もないんだから。
「ちょっと、結衣だけにじゃなくてあたしにもちゃんとくれるんでしょうね?」
「!?」
まさか凛のやつ!? 今の一言ですべてを察したとでもいうのか!?
「バカね、あんたの考えていることくらい解るに決まってるじゃない」
「まだそれ有効なの!?」
凛のやつ、いつまでそのエスパー設定なんだよ!?
「奏限定よ」
「!? ……ん? それって……そんなに俺のことを知りたいのか?」
「ちょっ!? ちがっ!? 勘違いしないで!」
「凛だって勘違いしないでよね! お兄ちゃんは凛のこといっぱい知りたいんだからね! ふんっ」
「キモッ」
「おい今誰が言った!?」
「…………」
誰だ!? 俺を気持ち悪いだなんて言ったやつ!? 踏んづけてやる!
凛との会話中だったから一瞬凛かと思ったけど、凛は赤面中で言葉を発していない。結衣やあや姉が俺にそんなことを言ったことはないからありえない。るみかちゃんと璃緒先輩もそういうことを言いそうにないし……となると西園寺かひまりか。
「なあ西園寺」
「何かしら気持ちの悪い藤森くん」
「……とりあえず西園寺ではなさそうだな」
「ええ、なんのことかよくわからないけれど恐らく違うわと言っておきましょう」
胸の下で腕を組み、背凭れに体重を預けながら足も組んでいる西園寺。随分と偉そうな態度である。
まったく、けしからん美脚だな。
ワンピース姿でおみ足をさらけ出している西園寺が足を組んでいることによって、スカートの中が見えそうで見えないすごい興奮スポットが誕生していた。
よしっ、俺はあの三角の暗闇を『魔のトライアングル』と呼ぼう。
罵倒されてイラついたから、仕返しに眼に焼き付けてやる!
「……あの、藤森くん」
「なんだよ」
「家族の前でもキャラブレしないその姿勢にはある意味尊敬の念すら抱くけれど、さすがに血眼で覗かれると気持ち悪いわ。一発蹴ってもいいかしら」
「その姿勢でなら許可しよう。けれど解っているのか? 床に座っている俺をソファーに座ったまま蹴るということは、そのスカートの中身を俺に見せるも同義。その覚悟があるのなら蹴るがいい。ほらっ! やってみろ!」
「くっ……その随分強気な態度にますます腹が立つけれど、さすがに下着は見られたくないわ」
「さてはアニマル柄だな?」
「私はTバックしか穿かないわよ! ――は、ハメたわね、藤森くん……っ!」
「今のは自爆というんだ西園寺」
「覚えておきなさい……っ。この屈辱は必ず返すわ」
「楽しみに待ってるぜ」
恥ずかしさで顔が赤い西園寺に、俺は勝利者の余裕の笑みで返した。
いやー、それにしてもまさか西園寺がTバック派だったとは意外だな。でも似合いそう。……やべっ、想像したらちょっと興奮した。
「ちょっといいかしら」
「? どうしました? 璃緒先輩」
璃緒先輩の突然の参加に、俺は軽く首を傾げるようにして顔の向きを変えた。
「西園寺さんとの話を訊いていて思ったけれど、今のどこに恥ずかしがるポイントがあったのかしら?」
「えっ!? ちゃんと訊いてましたか璃緒先輩!? TバックですよTバック!」
「ちょっと連呼しないでくれるかしら藤森くん」
横で西園寺がなにか言ってるけど無視する俺。
「Tバックのどこが恥ずかしいのかしら。お姉さんは穿いてすらいないのよ?」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
本日最大の衝撃発言だった。
「り、璃緒ちゃん、ブラはちゃんと着けてるよね?」
いい質問だあや姉。こりゃノーブラに期待だぜ。
「それはさすがに着けるわよ。あやめはこの胸を見てノーブラが可能と思うの?」
「そうだよね! よかったー……っ」
まるで自身のことのように胸を撫で下ろすあや姉。
チッ、さすがにノーブラはなかったか。
俺の儚い期待はすぐに崩れさることとなったわけだが、この短時間で2つも衝撃の事実を知れたからまあいいか。
「あのー、そろそろゲームをしませんか?」
「あ、ああ、そうだよな。すっかり忘れてたわ」
ひまりに促され、俺は消え去っていたゲームの存在を思い出す。
あれ? そういえば他にも忘れていたことが……あっ! そうだ! 俺をキモイと言ったやつの正体だ! まあそれは恐らくひまりだろうけど、この場じゃ認めないだろうしもういいか。
「それじゃあ――ゲームを始めようか」




