登場人物紹介
■千代
十六歳・主人公・語り手
琴宮別邸の下働き。読み書きも作法も知らぬが、虐げられて育つ中で「人の顔色を読む眼」だけは異様に鋭く磨かれた。生き延びるための観察眼が、そのまま偽りを支える武器になる。
- あかぎれの走った手、俯く癖、怯えると親指の爪を掌に食い込ませる仕草――どれも「姫君」には許されぬ痕跡で、露見の火種になり続ける。
- 芯は強く、絶望的な状況をも梃子に変えていく。
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■琴宮 玲
十七歳・消えた姫君
物語の最重要の“不在”。すでに亡いが、その死は隠される。
- 残された部屋、筆跡、女中たちの記憶を通じて像を結んでいく。
- 生前、何かを嗅ぎつけて密かに書き残していた――それが千代の手に落ちる縦糸となる。
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■氷室 冴斗
二十一歳・婚約者・攻略対象
氷室家当主。怜悧で酷薄、観察眼は千代と同格。ゆえに欺瞞は綱渡りになる。
- かつて身近な者を不審な死で喪い、以来、誰も信じぬよう己を律してきた。
- 玲とは形ばかりの顔合わせを一度したきり――その記憶の薄さが千代を辛うじて生かす。
- 近づくたび正体に迫り、迫るたび惹かれていく男。
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■琴宮 影虎
二十九歳・玲の兄・当主
千代を無理やり姫に仕立てた張本人。家の存続のためなら妹の死すら道具にする。
- 冷酷だが、その裏で何か(あるいは誰か)を庇っている。
- 千代が己の異母妹だと、当人もまだ知らない。
- 敵か味方か、最後まで揺れる。
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■志乃
五十二歳・玲の乳母
真実を知る唯一の共犯者にして、千代の教育係。
- 作法を仕込み、露見のたびに尻拭いをする。
- 玲を喪った悲しみを噛み殺しながら、次第に千代へ情を移していく。
- 厳しくも情の深い相棒。
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■榊 直茂
三十五歳・冴斗の側近
氷室家の用人。忠義に篤く、目端が利く。
- 「輿入れしてきた姫はどこか違う」と最初から疑いの目を光らせる。
- 千代の前に立ちはだかる番犬役。




