金色の泡と青の予感
ウェットスーツに着替えた僕たちは、船着場へと向かった。
そこには高藤や悠人をはじめ、他の班や一般の人たちの姿があった。
僕たちは走って急ぐとみんなへと頭を下げる。
「ご……ごめん……!お待たせ……!」
「おせーぞお前……ら……」
悠人は僕に怒鳴りかけた瞬間、僕の後ろにいた柊さんと早乙女さんを見て固まった。
「どうしたの、悠人……?」
「い……いや……、な……なんでもねえ……」
そう言う悠人はなぜか前かがみになっている。
しかし、僕はその理由を察した……。
……柊さんと早乙女さんのウェットスーツ姿を直視してしまったんだな。
無茶しやがって……。
「……真壁くん、さすがにそれはウチ引くし」
「……変態」
「最低……」
「ぐふ……っ!」
早乙女さん、柊さん、そして亜希の冷たい視線が悠人に突き刺さる!
「あは……あははは……」
僕はその様子に苦笑する……。
早乙女さんと柊さんのウェットスーツ姿を直視していたら、僕もあんな目に遭っていたのか……。
僕は悠人に少し同情しながら説明や準備運動を行った後、船へと乗船した。
◆◆◆
港から出て船に揺られること約10分……、遂にダイビングスポットへと到着した!
海の透明度は驚くほど高く、海底までくっきりと見える。
太陽の光が水面を通って差し込み、魚たちの鱗をキラキラと照らしていた。
「それではいよいよダイビングの時間だよ! みんな水中ゴーグルをつけて空気タンクを背負って!」
笑顔で話す男性スタッフの説明で、僕たちは水中ゴーグルをつけて空気タンクを背負う。
その瞬間、ずしりとした重さが背中にのしかかる。
(う……これ、想像以上に重い……!)
亜希は大丈夫かな……?
「きゃ……!きゃあ……っ!?」
僕は亜希へと目をやると、空気タンクの重さにバランスを崩し、今にも倒れそうになっていた!
「危ない……!」
僕は急いで亜希の肩を掴むと、亜希もまた僕にしがみついてくる。
「亜希、大丈夫……?」
「ありがとう、彼方……。助かったわ」
ふう、なんとか亜希を助けることができた……。
僕はホッと胸をなでおろすと、柊さんが僕をじぃ~っと見つめている。
「な……なに……?」
「……ナイス」
柊さんは僕へとグッジョブをすると、船の縁へと向かって行った。
……なんだったんだろう?
たまに柊さんのことが分からなくなる……。
「亜希、僕たちも船の縁に向かおうか」
「う……うん、わかったわ」
僕と亜希は手を繋ぎながら船の縁へと座る。
「それでは皆さん、口にレギュレーターを咥えて!咥えたらゆっくりと後ろから入水するんだ!」
僕と亜希はレギュレーターを咥えると、手を繋いだまま背中から海へと入る。
---
水中ゴーグル越しに見る海の中は、水面から差し込む光が海中に揺れる筋となって広がっていた。
泡が金色に染まり、魚たちがその光の中を泳ぎ回る。
レギュレーターのおかげで海の中でも問題なく呼吸ができ、僕は亜希のそばをゆっくりと泳いでいた。
亜希の髪がゆらりと揺れ、彼女の瞳が太陽の光を受けてきらめく。
サンゴ礁が水底で静かに揺れ、まるで水中の花畑のようだった。
僕たちが泳いでいると、多くの魚たちが寄ってきた。
それは色鮮やかな魚たちで、瀬山市ではお目にかかれないほど綺麗な魚だった。
数匹の魚が、まるで「ちょうだい」と言っているかのように僕の手元をつついてくる。
(餌でも欲しいのかな……?)
僕はウェットスーツのポケットからソーセージのような餌を出すと、それに魚たちが群がる……!
(うお……っ!?)
その様子に僕は驚き、餌から手を離すと、魚たちは一心不乱に餌を啄んでいた。
と、その時亜希が僕に抱きついてきた……!
何があったのかと彼女の方へと目をやると、亜希もまた僕のように魚に餌をあげようとしたところ、たくさんの魚が群がって来たため驚いたようだ。
亜希は苦笑しながら胸元に手を当て、僕を見つめてくる。
たぶん「びっくりした……!」って伝えたいんだと思う。
その瞳は、どこか安心しているようにも見えた。
その後、僕と亜希は海中をゆっくりと泳ぎながら、目的地である青の洞窟へと向かった。
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