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両想い(?)な二人と澪の敗北宣言

 プールから数日が経ったある日の放課後……体操服へ着替えた僕は、青葉ケ丘学園で行われる学園祭に向けてクラスメイト達と準備を進めていた。


「彼方、お化けの絵できたわよ」


「ありがとう、亜希」


 脚立に上り、ハンマーで仕切りを作っていた僕に、亜希が板を切り抜いて絵の具で塗ったお化けを持ってきてくれた。

 それを受け取り、仕切りの壁へ掛ける。


 僕たちが作っているのは“迷路型お化け屋敷”。

 この案を出したのは、なんと高藤!

 「俺に任せろ!」と意気揚々と提案したものが採用され、今こうしてクラス総出で準備に追われている。


 僕は迷路の壁を作り、亜希は他の人が切り抜いたベニヤ板に色を塗る作業をしているらしく、彼女の手にはもう一つのお化けの絵が描かれた板があった。


「このお化けはどこに掛けるの?」


「あ、それは後でやっておくから一旦もらうよ」


「分かったわ……あ……」


 亜希が差し出した板を受け取ろうとした瞬間、僕と亜希の手が触れ、僕たちは顔を少し赤くしながら見つめ合う。


「……御堂君、ちょっといい?」


「っ!?」

「っ!?」


 突然声をかけられ、驚いた僕と亜希は振り向く。

 そこには柊さんがいた。


「な……なに柊さん……?」


 び、びっくりした……!心臓が飛び出るかと思った……!


「暗幕がないから取りに行ってきてほしい……」


「え……?でも、それは高藤と悠人の役目じゃなかったっけ……?」


「……二人とも消えた」


 柊さんは小さく「ふぅ……」とため息をつき、どこか疲れた目で僕を見る。


 クラス委員長って大変なんだな……。

 それはいいとして――。


「は……?」


「柊さん、どういうこと……?」


 僕と亜希は目を点にしながら問い返す。


 僕の聞き間違いじゃなければ、高藤と悠人が“消えた”って言ったよな……?


「……だから、高藤くんと真壁くんは暗幕を取りに行ったままいなくなった。でも暗幕は必要だから取りに行ってほしい」


 ……。


 高藤ぉぉぉぉーーーーーっ!!


 僕は心の中で絶叫した。


「ちょっと待って……!そもそもこの企画は高藤が出したんでしょっ!?なのに真壁と一緒に消えたってどういうことよ……っ!?」


「わたしに聞かれても困る……でも、消えたのは事実……」


 高藤め……!サボったなっ!!


「……わかったよ、僕が行ってくるよ」


 文句を言っても始まらないし、暗幕が必要なのは変わらない。

 他のみんなも忙しそうだし、ここは僕が行くしかない。


「あ、なら私も行くわ。その……彼方一人じゃ大変だと思うから……」


「ありがとう亜希。それじゃあ行こうか」


「うん、彼方」


「……取りに行ってくれるのは嬉しいけど、最近御堂君と風原さんの距離が近い。何かあったの?」


「な……ななな……何もないよっ!ねえ亜希!」


「そ……そうよ!柊さんの考えすぎよ……!」


「嘘。二人とも下の名前で呼び合ってる。雰囲気もどこか甘ったるい。二人ともちゃんとした態度を示してほしい……じゃないと……わたしが困る……」


 柊さんはそう言うと、珍しく苦笑いを浮かべた。


 僕と亜希はそんな柊さんに見送られながら、暗幕を取りに行ったのだった……。



~サイドストーリー~



──澪──



「ふぅ……」


 御堂君と風原さんの後ろ姿を見つめながら、わたしは静かにため息をつく。


 あの二人は必死に否定していたけど、多分両想い……。


 わたしはエリシア(ゲーム)やラノベで優位に立てると思っていたけど、やっぱり風原さんは手強かった……。

 多分、わたしの入る余地はない……わたしは風原さんに負けた。


 でも、御堂君と風原さんのあの笑顔を見ていると、負けたのにどこか清々しくも感じる……。


「風原さん、今回はわたしは負けを認める……。でも、しっかり御堂君を捕まえておかないと、隙を見せたらいつでもわたしが御堂君を取りに行く……」


 わたしは風原さんの背中に向けてそう呟くと、学園祭の作業へ戻った……。

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