カナタとミアキの冒険の始まり
──彼方──
自分の部屋へ戻った僕はパソコンを立ち上げ、エリシア・オンラインを起動させるとカナタを操作し、トリスタにいるミアキのところへ向かった。
『ミアキ、お待たせ』
僕はミアキへ個人チャットを送るが、彼女からの返答がない。
あれ……?どうしたのかな……?
そう思っていると僕の部屋のドアが開き、亜希がやってきた。
「彼方……会話ってどうやるの……?」
「あ……」
亜希にチャットの仕方を教えるのを忘れていた……。
「えっと……キーボードの打ち方はわかるよね……?」
「そのくらいは分かるわ」
「チャットの打ち方は普通にキーボードで打つのと変わらないよ。あとはチャンネルを変えることで発信する相手を選べるんだ」
「チャンネル……?」
亜希は不思議そうな顔をしていた。
「1番が普通の会話。このあたりにいるキャラクターに会話が聞こえるんだ。2番がパーティーチャット、パーティー同士での会話。3番が個人チャット、これは特定の相手に会話を送れるよ。さっき僕が亜希に送ったのがこれだね。4番がチームチャット、チーム内で送れるチャットだけど、亜希はまだチームに入ってないから使えないかな。5番が全体チャット、このエリアにいる人全員に発信できるよ」
「え……?えっと……1番が……普通の会話で……2番が……え……?え……?」
亜希は僕の画面を見ながら目を白黒させていた。
……余計混乱させちゃったかな?
「ま……まあ、とりあえず今からミアキにパーティーの申請を送るから受けてもらっていいかな?」
「わ……わからないからちょっと来て……!」
「え……?うわぁ……っ!?」
ミアキへパーティー参加の申請を送ると、僕は亜希に手を掴まれ、そのまま彼女の部屋へ連れて行かれた。
---
「これでいいよ。会話はこの2番のパーティーチャットで行えるよ」
「あ……ありがとう、彼方……」
パーティー参加の方法を教えると、亜希は少し顔を赤くしながら上目遣いで僕を見た。
その様子に僕はドキッとしてしまう。
(な……なんだか今日の亜希はいつもと少し違うような……)
「と……とりあえず、これで僕と一緒に冒険しよう……!」
僕は少し顔を赤くしながら、それを隠すように自分の部屋へ戻った。
~サイドストーリー~
──亜希──
彼方とパーティーというものを組んだあと、私は彼方から貰ったコントローラーをどうにか操作しながら街を出ると、そこには平原が広がっていた。
「きれい……」
その光景に思わず声が漏れる。
そして隣には彼方のキャラクターであるカナタがいる。
なんていうか……髪の色が違う以外は彼方とそっくりで、少しおかしい反面、彼方と一緒にいるんだと思うと胸がドキドキする……。
『それじゃあ、ミアキ。あそこにいるホーンラビットを倒そう』
『分かったわ』
私は2番のチャットに返事を返しながらミアキを操作すると、「ホーンラビット」と書かれたウサギが見えてきた。
それはいいんだけど……か……可愛い……!
え……?この可愛いウサギを倒さないといけないの……?
戸惑っていると、彼方が次々とホーンラビットを倒していく。
『か……彼方やめて……!』
『どうしたの?』
『その……そんなに倒したらウサギが可哀想よ!』
『えっと……これゲームだから……』
「あ……」
私は思わず声を漏らした。
いけない……ゲームと現実をごちゃ混ぜにしてた……。
妙にリアルだから勘違いしてしまった……。
そ……そうよね、ゲームだから倒していいのよね……!
私はぎゅっとコントローラーを握りしめ、ミアキにホーンラビットを攻撃させた。
すると赤い石のようなものを手に入れ、「魔石(小)」と書かれていた。
『彼方、何か手に入ったわ。魔石(小)って書いてあるわ』
『え……?すごいじゃないか!それはホーンラビットが落とすレアアイテムで、売ればそれなりにお金になるよ!』
『そ……そうなの……?』
どうやら私はいいものを手に入れたらしい。
ビギナーズラックってやつかしら……?
その後も彼方との冒険は続き、街の近くの洞窟へやってくると、そこには「野盗」と書かれた敵が襲ってきた。
「きゃーーっ!彼方助けてーーっ!」
敵に囲まれ窮地に陥るミアキ……!
『ミアキ……!』
しかし、彼方がすぐに助けに入ってくれたおかげで、ミアキはやられずに済んだ。
『彼方……ありがとう……』
『ううん、気がつくのが遅れてごめんね』
なんだろう……ゲームの世界なのに、本当に彼方に守られているような気がして胸がドキドキする……。
『あ……ミアキ見てご覧、宝箱があるよ』
『あ……本当だ……』
『ミアキ取っていいよ』
『い……いいの……?』
『うん、どうぞ』
『ありがとう……』
宝箱を開けると、「魔法少女の服」というものを手に入れた。
……なにコレ?
説明には「魔法少女ルビー・フェニックスになりきれる服」と書かれていた。
……コスプレかしら?
『彼方、なんか魔法少女の服というものを手に入れたわ』
『えっ!?それ今このゲームのコラボアイテムだよっ!しかもレア度が高くてなかなか手に入らない防具で、防御力も高いすごいものだよっ!』
『そ……そうなの……?』
『うん!さっきの魔石といい、ミアキすごく運がいいねっ!』
チャット越しでも彼方が興奮しているのがわかる。
どうやら本当にすごいものを手に入れたらしい。
『これどうすればいいの……?』
『キャラに着せればいいよ』
『……どうやるの?』
『待って、すぐに行くよ』
その後、彼方は私の部屋へ来てくれ、装備の変更方法を教えてくれた。
ミアキが着た魔法少女の服は赤を基調とし、胸元にはピンクのハート型の飾りがついていた。
その後も彼方のキャラクターと冒険を続けた私は、ずっと彼方がそばにいてくれるような気がして、終始胸がドキドキしていたのだった……。
少しでもおもしろいとか、続きが気になるなど、気に入って頂けたら☆☆☆☆☆やブックマークへの登録をしていただけると今後の励みになります!
また、感想をいただけましたら喜んで返信させていただきます!




