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非公式対談の裏側(ウルside)

「……いい顔だ」


薄暗い一室に、光はひとつ。壁に埋め込まれた監視カメラが映し出すのは、王宮庭園内特別応接間。


その中心に座るのは、レオンと、そして──真珠。


椅子に背筋を伸ばし、柔らかな青いドレスに身を包んだ女。だが、その笑顔は張りついた仮面。眼差しはうっすら揺れていた。


「緊張しているな……けれど、よく耐えている。さすが、我が妃だ」


唇に指を添えたまま、ウルはゆっくりと椅子に腰をかけた。片手には温い紅茶。もう片手は、真珠がいつも使う簪──彼女が忘れていったものだ。それを指で転がしながら、画面の中で会話が進んでいく。


「──王太子殿下と、過ごされる時間が?」


「い、いやっ、別に……!」


真珠の慌てる様子に、ウルはふ、と喉の奥で笑った。


「言葉の選び方が下手だな……だが、誤解させるのも悪くない」


無防備に勘違いしていくレオン。彼女を救うという気概をこめた目が、こちらとしては滑稽でたまらなかった。


(その目の奥にある“所有”の欲を、俺が見抜けないとでも?)


レオンが身を乗り出し、真珠の手を取る。


その瞬間──


ウルは舌を出し、唇をゆっくり舐めた。


「……そこまでだ、子犬。牙を剥く前に、骨を砕いてやる」


スクリーンの向こうでは、真珠が半泣きのような笑みで、必死に否定していた。


「ち、ちがうの……!私は、ウルと……!」


「……そうだ。その声だ」


独りごとのように呟く。何より快感だったのは──彼女が、他の男の前で、自分の名を口にすること。震えた声で。戸惑いながら。それでも確かに、俺を選ぶ声で。


(可愛いな……お前は)


「……演技にしては上出来だ。だが、あの男の手が、うなじに伸びかけた瞬間……お前の瞳が震えた」


その震えを、ウルは見逃さなかった。彼女の身体に刻まれた印は、触れられれば疼く。疼きは熱となり、やがて支配の呼吸になる。あの場で疼いたらどうなるだろうか?……声を抑えられるか?


想像するだけで、喉が熱くなる。


モニターの中、真珠が目眩を起こして崩れる瞬間。


「……なんでこうなるのよ……」


その一言に、彼はくつくつと喉を鳴らした。


「──愛だよ、真珠。これが、俺の愛だ」


独占し、観察し、支配し、試し、また抱く。

そうして何度も刻み込んでいく。


「お前は、もう誰にも触れられない身体になっている。他の誰かに見られただけで、俺の存在を思い出す……それでいい」


画面の端で、レオンが拳を握りしめ、真珠をじっと見つめていた。


「……来るか?なら、来い。お前ごときが、俺のモノに触れられるものか」


彼はゆっくりと椅子を立ち上がった。真珠が戻ってくる前に、応接間へ向かう。予定通り、彼女を抱き上げて“撤収”するつもりだった。


だが──それは表向きの顔。本音はただひとつ。


「またたくさんイかしてやる。俺の腕の中で。対談ごっこのご褒美を、じっくりくれてやる」


そう囁くその目は、燃えるような執着で青く染まっていた。








対談のあと、真珠は何も言わなかった。


レオンの視線にさらされ、言葉をねじ曲げられ、震えた笑顔のまま崩れたあの女が、今、ベッドの端で俯いている。


「……ご苦労だった」


そう声をかけても、返事はない。ただ、膝をそろえて座ったまま、布越しの爪を摘まんでいる。まるで、怒られるとでも思っているかのように。


「……怖いのか?」


問えば、かすかに震える肩。やはり。


「俺が怒ってると、思っているのか?」


返ってきたのは、こくんと小さな頷きだった。


──なんて、可愛い。


ウルはその場に膝をつき、真珠の足元に顔を近づける。小さな爪先に唇を寄せて、そっと囁いた。


「俺は怒っていない……嬉しかったんだ」


「……う、れしい……?」


「俺の名前を呼んでくれた。震えて、戸惑って、それでも……俺を選んだ」


彼女の頬に手を伸ばし、ゆっくりと仰向けに倒す。

ベッドに沈んだ身体は、まだ緊張で強張っていた。


「……いい子だ。だから、褒美をやる」


「えっ……ご褒……」


唇に触れると、言葉が溶けていく。深く、柔らかく、けれど逃がさないように。舌を絡め、啄み、吸い──自分の熱を、少しずつ流し込むように。


真珠の呼吸が震える。手がベッドの端を掴み、声にならない吐息が漏れた。


「……もう、怖がるな。お前は、俺のものだ」


ドレスの布を持ち上げ、腿に手を這わせる。刻印の場所には、唇を寄せずに、そっと指先でなぞった。


「や……あ……ッ」


腰が跳ねた。


「……ここ、まだ疼いてるのか?」


「っ……う、うる、あの、だめっ……また、おかしくなっちゃう……!」


「なればいい。俺の指だけで、おかしくなってみせろ」


チョーカーを外すと、白いうなじに刻まれた青の印が、淡く熱を持っていた。そこに、優しく──けれど執拗に、舌を這わせる。


「……ひ、ぁ、あっ……!!」


刻印が反応し、甘い熱が脊髄を駆け抜けていく。真珠は呻くように首を逸らし、足をばたつかせながら、悲鳴を噛み殺した。


「もっと声を出せ。誰にも聞こえない。ここは俺の寝室だ」


「で、でもっ……だめぇっ、また……っ、腰ぬけちゃうぅ……!」


「抜けていい。動けなくなっても、俺が抱いてやる」


そう囁きながら、太腿を割る。そこは濡れていた。触れずとも分かるほどに、彼女の身体はこの刺激を待っていた。


「真珠。お前が今日、他の男にどれだけ見つめられても……こうして反応するのは、俺だけだ。俺しか知らない。誰にも知られてはならない」


唇を刻印から胸元へ、そして腹へ──と這わせながら、彼女の全部を味わうように、執拗に、時間をかけて、愛撫する。


喘ぎ、泣き、そして──


「だ、めっ……!もう、いっちゃうっ、ウル、ウル……っ!!」


「ああ、俺の名前だけを呼べ。お前を自由していいのは、この俺だけだ」


彼女が絶頂に溶けるのを見届けながら、ウルは静かに微笑んだ。そして、耳元で囁く。


「お前は、ちゃんと演じきった。だから今夜は……素直に、おねだりしてみせろ。もっと欲しいって。泣いて、喚いて、俺に懇願しろ」


「ひっ……そんな、言えな……ッあぁあッ……!」


「言えるまで、止めない」


これは“ご褒美”。


そう、ウルが信じて疑わない、

愛という名の支配の夜──。


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