1-『人生』というものはそう思い通りにはいかないものだけども。
『人生』というものはそう思い通りにはいかないものである。
誰しもがやり直せるわけでもないし。
誰しもが救われるわけではないし。
誰しもが愛する人のヒーローになれるわけでもない。
だから、人生うまくいかないのは仕方がない。
実際、この世に生をなして齢十八年と二ヶ月。
人生まだまだだと言われる俺でさえ。
今まで生きてきた短い人生で何度、その言葉が正しいものだと思い知らされたことだろう。
まぁ、俺と違って貴族で金持ちで容姿も整っていて。
少々…………………か、どうかはさておき。
間が抜けているという欠点はあるが、順風満帆な人生を送りそうな身分に容姿、才能をも持ち合わせているうちのお嬢様でさえ。
家が金持ちで歳が近く顔がいいからという理由だけで、有無を言わさずあんな頭の足りない王子様の婚約者に選ばれてしまったのだから。
ほんと、人生はうまく事が運ばないものである。
だとしても、まさか。
「ヴァレリー・ルグラン! 僕との婚約破棄を言い渡す!」
婚約者である第三王子から大事な舞踏会のど真ん中で婚約破棄を。
「王家の婚約者にあるまじき、陰湿な行為。我が友人、マテナ・ウィギナを殺害しようとした罪でだ!」
ましてや、第三王子のお気に入りの子爵令嬢を殺害しようとしたという無実の理由で言い渡されることになるとは。
流石に思ってもみなかったが。




