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古来種



──鬼ヶ島。



見知った顔の少年。


されど確かな殺気と共に猛烈に襲いかかる危険分子となった彼に、仕方なく一撃を入れた。


結果として血反吐をばら撒きながら意識を刈り取る迄に至る。


「流石にやり過ぎでは……?」


歩み寄って来た女性はいたい気な少年を想い、ハゲた彼を咎める。


「いや、思ったよりまじ卍で、ワンチャン負けるかと思ったけど、ありよりのありって言うかアリよりも像って感じで神ってたから仕方ない」


「はい?」


眉を顰め戯言をぬかす彼に問う。


「え、若者言葉知らんの?草生える」


すればこれでもかと言うように煽り腐った顔で見下した。


「もちろん知ってますよ。髪抜けた」


しかしあっけらかんと言い放つ彼女は最後に不可思議な言葉を付け加えて返す。


「髪抜けたってなんだよ」


当然の様に返される問い。


「え、知らないんですか?草生える」


すれば待ってましたと言わんばかりに煽り腐った顔で見下した。


「知ってる知ってる。知ってるに決まってるだろ。髪抜けた」


その頭皮に一筋の血管が浮き出るが、なんとか取り繕い、あたかも知ってるかの様に装って返す。


しかし──


「何を仰っているのですか?抜ける髪無いじゃないですか。髪ってますね」


見事なカウンターが見舞われた。


「くっ……てか神ってるの使い方違うから」


苦し紛れに言う彼に──


「そんな事無いですよ。まぁ無しよりの無しの人には分からないと思いますが……」


駄目押しに前髪をくりくりと弄りながら言い放った。


「ぴえん」


思わず涙を拭う彼は、今後、無闇に彼女を煽らない様にしようと独り胸に誓うのだった。


「そんな事よりヒョードルの治癒が先決です。私の魔素も一人治癒するくらいなら残ってますから」


下らない会話を切り上げて倒れ伏した少年に目を向けた。


「また襲ってきたらどうすんだ」


「その時はまたウリュウが抑えればいいじゃないですか。このまま放って置いたらほんとに死んじゃいますよ」


「それもそうだな」


すると彼女は治癒魔法を掛けた。


「しかし妙ですね。

 桃ノ果実さんの話では、魔素の濃いこの島は鬼の巣窟となっていると言っておりました。

 ですが鬼どころか魔物の気配すらしない様です」


辺りを見渡しながらそう呟く。


「ん、こいつらは?」


ウリュウの方へ視線を向けたリース。


そこには無造作に吊るし上げられた三匹の魔物の様な生物。


辛うじて意識はあるようだが、反撃する気力をないほど疲労している。


「なんなんですかね。

 ヒョードルを守る様な動きをした風にも見えましたが……」


「非常食にでもしとくか」


「え!魔物を食べるんですか⁉︎」


「いや、こいつら魔物特有の気配がしない。

 それこそ牛とか羊とか……」


「古来種ですか。

 まぁ逃がしてやってもいいんじゃないですか?

 気持ち程度になりますが治癒しますね」


そしてリースは伸び切った彼らにもほんの少しの治癒を施し、ウリュウはまだ意識のないヒョードルを背に歩き出した。


「島の中央に向かおう。嫌な気配が……ん?」


なにかを感じ取って背後を見れば先ほど治癒を施した三匹の生物が後を付いて来ていた。


「お前らも来るか」


「キィィ!」


「ワン!」


「クェェッ!」


こうして高らかに吠える三匹の生物を連れ、島の中央へと向かうのであった。


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