プロローグ
初めまして、今回初投稿作品です。作者の妄想と空想と欲望を詰めた作品となっているはずです。
また、作者は小説初心者なため、文章自体がおかしかったり、誤字、脱字、言葉の誤用等があると思いますので、ご指摘をお待ちしています
「ゆき~、なに見てるの?」
午前中の授業が終わった昼下がり、教室内では生徒たちが各々集まって昼食をとっていた。
そんな中、不満そうに少しほほを膨らませる少女“有栖川 未来”は、目の前でスマホに夢中になっている友人“宇佐美 雪華”に問いかけた。
「ん~、ゲーム動画。今、βテストやってるやつで“Under Mirrors Storia”って名前のVRオンラインゲーム。グラフィックのクオリティの高さやプレイの自由度が話題になってるの。ほれ見てみそ!」
そういいながら雪華は、自分のスマホを未来に差し出す。
そこには、4人の男達が物語に出てくるような翼竜を相手に戦っているところが映し出されていた。
翼竜の突進や尻尾による薙ぎ払いといった攻撃を騎士が大きな盾で受け止め、攻撃後の硬直に合わせて侍と剣士が剣撃をくらわせる。さらに、後方にいる魔術師が本を片手に杖を掲げると、彼の前にいくつかの図形と文字が組み合わさった“魔法陣?”のようなものが描かれる。完成とともに魔術師が『ファイアストーム』と叫ぶとその図形は輝きだし、翼竜を囲うように巨大な炎の渦が現れて、翼竜を焼き尽くした。最後に、侍が炎の渦の中から出てきた翼竜の首元に向かって一閃、翼竜の頭上にあった赤色のバーが黒く染まり翼竜が力なく倒れ伏した。男たちが勝利したのだ。
これぞファンタジーといった戦闘はアクション映画さながらの迫力と臨場感があり、最初興味なさそうにしていた未来も食い入るように動画を見ていた。
「なにこれ!ほんとにゲーム?すごい迫力なんだけど!!」
興奮気味に身を乗り出す未来を見て、雪華は満足そうに「でしょ~」と笑顔で答える。
興奮した未来の声は少し大きかったようで、周囲の人たちからの注目を集めてしまう。急に集まった視線に居心地の悪さを感じた未来は恥ずかしそうに頬を赤く染めて椅子に座り直した。
それでも興奮冷めやらぬという雰囲気で再度動画を見直し始めた未来の目に侍の振るう刀が留まる。
透き通るように白く輝く刀身、その刀身の周囲には薄青い光が揺らめいていた。オーラのように刀に纏う光からは不気味さは一切感じられず、むしろ刀身の輝きを強調するようで神秘的とさえ感じられた。
先ほどよりもさらに食い入るように動画を見る未来を見て、雪華は不思議そうに画面を覗く。
「さっきから同じシーンを繰り返し見ているようだけど、何か気になることでもあったの?」
「あ…うん、ちょっと…この刀がすごく綺麗だなと思って…何度も見返してた」
「あーなるほど、未来は刀が大好きな刀フェチだったもんね~納得!納得!」
「…フェチっていうなし」
未来が大の刀好きだと知っていた雪華は、生返事気味に返してきた彼女の答えに納得しつつからかうように答える。その後、返ってきた未来のツッコミを軽く流し、雪華はその刀について簡単に教える。
「ごめん、ごめん。……うーん、この人たちはかなり上位のプレイヤーみたいだから強力な刀だと思うよ。しかもプレイヤーメイドの武器。纏ってるオーラはその侍のスキルだね」
「… ぷれいやーめいど?この人が作ったってこと?なにそれすごい!!」
「うーん…少し違うけど自分たちで作れるっていうのはあってるよ」
理解しきれてない未来の少し外れた答えに雪華は苦笑しつつ肯定する。
「…いいな~自分で刀作れるんだ~」
そんな、未来の自分にしか聞こえないくらい小さな呟き。
しかし、すぐ近くにいた雪華には聞こえていたらしく、その言葉を待っていたと言わんばかりの目を輝かせ、期待の眼差しを未来に向けられた。
「だったら一緒に正式版に申し込もうよ!!!」
「え…でも、ゲームとか慣れてないし…」
「いろいろ教えるから!!手助けもするから!!一緒にやろ!!お願い!!お願い!!おねがーい」
「…わ、わかったから、申し込んで受かったらやるから…受かったら!ってか、顔近い!!」
勢いよく乗り出してくる雪華の顔を抑え答えを渋る未来。雪華はそんな未来の手を握り、逃がすものかとばかりに頼み込む。雪華の勢いに押され、顔を赤らめつつしぶしぶといった感じに了承した未来は、嬉しそうに「うん!」と答える雪華の満面の笑みを前に、たまには良いかとつられて笑みをこぼすのであった。
数か月後、二人のスマホに一件のメールが届く。
その件名は...
【Under Mirrors Storia 正式サービス第一次抽選 当選者様へ】であった。