表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/292

誤読率を下げるには?(国語ツヨツヨ勢ほど論理思考ができない問題)

 何を書くにしても、『作者の意図通りに読者にお伝えする』ことって非常に重要だよね。


 だからこそ、『誤読率を下げる方法』には、需要があるんじゃないか?


 そう思って、ちょっと考えてみた。


 今回は、あんまり自信がないお話なので、間違ってる場合は感想欄でご指摘いただけると泣いて喜びます。


 ぼくは常々、『日本語って論理思考に向いていないんじゃないか?』って思っていて、『それはなんでか?』っていうと、日本語には自動詞と他動詞の『区別がない』か、あるいは、『あってもその区別が曖昧』だと思われるからだ。


 漢字かな交じり記法とか、要因は他にもあるんだけれど、要は『論理構造を推定するために役に立つ情報』が、日本語では欠落しがちなんだよね。


 伝わるかな? これ。


 意図的に工夫してあげないと誤読が生まれやすい、とでもいいましょうか。


 例をあげてみよう。


 例)お昼は、もう食べましたか?


 この例文は、動詞の性質に着目したとき、ざっくりとふたとおりに解釈可能だ。


 1.お昼といえば、もう食事しましたか?(自動詞的解釈)

 2.お昼ごはんを、もう食べましたか?(他動詞的解釈)


 文法上正しいのは1のニュアンスなのだけれど、『格』のある外国語を学んだ人だとか、英語が得意な人だとか、あるいは国語が苦手な人は、2のニュアンスで読んでしまうんじゃないかな?


「が」や「を」につながる類の名詞につく「は」は、話題を意味するトピックマーカーであって、()()()的な動詞とセットで使われるものだ。


 したがって、動詞を他動詞的に使っている2の解釈は誤りとなる。


 ところが、実際問題、意味は大差ないので、ネイティブスピーカーでも間違えることが少なくないっていう。


 しかも言語によっては1の解釈はそもそも不能なのだ。食べるという単語に他動詞的用法しか存在しないような言語もあるからね。


 これを逆手に取ったのが、アミラーゼ問題だ。


 『アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。


 セルロースは(     )と形が違う。


 (     )の中に入るのはどれか?


 (1)デンプン(2)アミラーゼ(3)グルコース(4)酵素』


 こんな問題。


 これの正答率が、まぁ低い。


 抽象化すると、


 アミラーゼ-分解する-デンプン

       -分解できない-セルロース


 と、論理構造の骨子はこれだけなので、そもそもセルロースと比較できそうなものはデンプンしかないのだが、そうはいかない。


「は」を『話題のトピックマーカー』と解釈をすると、途端に難解になってしまう。


「比較」している全体の構造が、見えずらくなるのだ。


 かくして国語の偏差値が70を超えるような国語ツヨツヨ勢でさえも、引っかかるような問題ができあがる。


 むしろ、逆に『「は」を対格のニュアンスで誤読する人のほうが正答率が高く出る』可能性まである。


『国語ができる人ほど、論理思考ができなくなる』という恐ろしい例がここにあるのだ。


 ちょっとおもしろいでしょ?


 思うに対格(目的格)的なニュアンスであると解釈可能な位置(ヲ格相当部位)に、『は』を使うと誤読の温床になるんじゃないのかな?


 つまり、次のように『は』を『を』に変えるだけで誤読率はぐっと下がるように思うのだ。


 『例)アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースを分解できない。


 セルロースは(     )と形が違う。』


 どうだろうか?


『は』を『を』に変えただけで、解釈しやすくなったんじゃないかな?

 

 で、結論。


 誤読を少なくするために『を』が使える場面では、『は』は避けて積極的に『を』を使うべき!


 今回はこんなお話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ