十六話 ヤンキー少女
はい、という事で……禁じていたはずの拳による制裁をヤンキー達に加えてしまい、無事俺の学校内での評価が下がりに下がり、最低値にまで下がり切ってしまうという結果になった。
けれども、そこまで周りの対応に変わりはなく、そこは唯一の救いと言えるだろうか……いや。
でもそれって、元から俺の評判が悪かったって事なんじゃないか? もうこれ以上は下がらないって意味でもあるんじゃないか?
いやまあ、低いのは知ってたけどさ。でもそれはちょっと、何と言うか悲しい。凄く悲しい。
だが、それでも日々は授業は淡々と続けられる……という訳で俺は廊下を歩いていた。
次の授業が別室で行われるからだ。
ちなみに、あの後は何事もなかった。俺にボコされたヤンキー達はすぐに逃げ出して行ったからだ。
だからもう一度言うが何事もなく、学校側もあまり問題を起こしたくないのか、あれを『単なる喧嘩』として処理したのでその辺りの心配も無用だ。
とは言ったものの、本当にそれで良いのか……? と、いうのは俺自身何となく思ってはいるが。
まあそのような決定を下したのは学校側なんだし、これ以上掘り返した所で俺が困るだけなのでもう気にしない事とする。世の中色々あるって事だ。
もう良い、もう良いんだ。今は耐えるだけ、そうすれば後は時が何とかしてくれるから……クラスメイトの皆の記憶から今日が薄れ始めたりする等のようにして……
「……ん?」
すると、そこで俺は窓の外に、何やら人影がある事に気付いた。
校庭にある一際大きな木。その根元にそれは確かにあった、間違いなく誰かがそこにいるのだ。
でも、何かおかしい。そんなはずはないんだ。だって今は授業と授業の間の十分休憩とは言え、わざわざその時間を利用してまで校庭で何かしようなどという生徒なんて皆無なのだから。
その生徒の授業が校庭での体育、というのも考えにくいと思う。何せその子は今、遠目なので多分ではあるが制服のままなんだから。
流石にそのままの状態で体育をやるだなんて話聞いた事がないし、校外学習だというのならばもっと遠方に、というか引率の教師も他の生徒達も無しに単独行動をしている訳がない。
そのような理由により、そこにいる者に妙な感覚を抱いた俺の目は、歩き進めながらもそちらへと釘付けになってしまう……と。
そうして近付いた事ではっきりと見えた。その生徒らしき一人の人物の姿が。
でも、それは。何故だろう? どうしてあの子がここにいるんだ?
その人物は……いや、彼女は。
先程、俺が蹴散らしたヤンキー集団の紅一点である、『ヤンキー女子』その者であった。
別に、アイツらの仲間に関わりたくなんてない。というか、どちらかと言えばそんなのは嫌だ。凄く嫌だ。
ただでさえ校内での俺の評判は悪いと言うのに、そんな輩と関わっていると知られては今度こそ俺の評価が地に落ちてしまう。
今が底値だというウワサもあるが、もしそうでなかった場合のダメージが大き過ぎると思うんだ。現状よりも評判が、周囲の目が悪いものになってしまうのは流石の俺でも耐えられない。
でも、今のあの子は何やら様子がおかしいというか、近付いた事で蹲っているようにも見えるというか、とにかく。
放っておくのは良くないような気がするんだ。
そう考えた俺は、あろう事か授業を前にして別室ではなく、何と彼女の元へと歩を進めていた。
正直な所、さっきも言った通りはっきりとした理由はこの俺にもよく分からない。ただ、このまま放置はできないと思っただけだ。
まあ授業にはまだ時間があるし、それまでに終わらせれば良いだろう……そうして、俺が彼女の元へと辿り着くと。
遠目にも見えた通り、やはりそのヤンキー女子は身を屈め、何かに耐えている様子だった。
まさか、あの時に怪我でもしたのか?もしくは、させてしまったのか?
いやでも、前と同じくこの子は俺に襲い掛かっては来なかったから、手を出した覚えなど決してない。だがしかし、それならばどうして?
俺は内心ビクビクとしながらも、遂にヤンキー女子へと話し掛ける事にした。
彼女がそうなっている、というかここにいる理由を。そしてその原因は俺にないと突き止めるためにも。
ちなみにビクビクとしているのは、前述したもののうち後者の可能性が限りなくゼロとは言え、もしそうであったら……と、不安になってしまったからだ。
……まあ良い。ひとまず声を掛けよう。
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