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第二十六話 オタクは偏見が強い

『〇〇しないと出られない部屋に入って763日目』


 平日の昼間からやるゲームは最高だ!

 会社で苦しんでいるサラリーマン共や、学校の授業に泣き叫んでいる学生たちを想像しながら、俺はニヤリと笑った。お前らが金を稼いだり、将来のために頑張っている間、俺は人生において何の意味も価値もない行動をしている。つまり、俺が最強。無敵。何も失うものがない。


 と、内心でニートの咆哮を上げている、そんな昼下がり。


「……オタクくんって、なんでゲーム好きなのにゲーム下手なの?」


 凛々子が言ってはならないことを言った。彼女はベッドでスマホをポチポチしながら、俺のゲームも見ていたらしい。


「別にへたじゃねーし」


「さっきからずっと死にまくってるじゃん?」


「やれやれ。お前には『意味のある死』という存在が見えないんだな。俺がヘイトを稼いで死ぬことによって、味方がキルをしやすくなる。俺の自己犠牲精神が見えないのか? 縁の下の力持ちは大変だ……サポートに特化した能力を持った異世界ファンタジーの主人公がパーティーから見下されている感じとはこのことだろうな。いいか? 俺は黒子。目立たないが、絶対に必要な存在ということで、つまり――」


「でも、普通に生きて倒した方が強くない?」


「……そ、そそそそういう考え方もありだな」


 正論ばっかり言うなよ、小娘が。

 とはいえ、彼女が言っていることは事実。なんだかんだ言い訳しているが、要するに俺のプレイがダメなだけだった。


「下手くそなんだから、もうゲームやめたら? 才能ないんじゃないかなぁ」


「バカ言うな! 俺はゲームを極めて配信者になる。そして毎日ゲームだけして稼ぐんだ。好きな時に起きて、適当に配信して、新作ゲームが出たら便乗する――それだけで年収は億を超える。いいか? この世界で一番楽な職業、それは『配信者』だ」


「そうなん? 普通に大変って聞いたことあるけど」


「いいや、楽だね。少なくとも社会人よりはいいだろ」


 まったく。凛々子は何も分かっていない。

 俺の調べた限りでは、ゲーム配信者ほど楽な職業はない。だって、ゲームをしているだけでいいのだ。何が大変なんだよ。


「オタクくんは才能ないし、ゲームを作る方が向いてるんじゃないの?」


「クリエイターになんかなるかよ。あんなクソみたいな職業、絶対に嫌だね。時間をかけて作ったところで評価されることの方が珍しいんだぞ? クリエイターなんて目指す奴はみんなドMだ。大変なだけで評価なんてされないし、運良く売れた作品が作れても、それを配信者に食い荒らされるだけだ。だから俺は配信をする。他人の作ったコンテンツに寄生して金持ちになる――!」


「……わたしがお世話になった先輩の中に配信してた人もいたけど、メンタルずっと病んでたよ? やっぱり誹謗中傷とかもすごいみたい。あと、ずっと座っている仕事だから、不健康そうだったし。健康診断の結果がえぐすぎてなんかもう笑ってたレベル」


「え。マジか」


 凛々子の人脈が広すぎる件について。

 こいつ、配信者にも知り合いがいるのかよ。すげぇ。


「ぶいつーばー? そんなやつやってた」


「Vtuberさん!? だ、だだだ誰だ」


「おおてきぎょー?みたいなところでやってる人らしいけど」


「企業所属、だと……! 天上人じゃねぇか。アイドルよりも人気があると噂の――!」


「あれってアイドルなん? 先輩、普通に彼氏いたけど、いいのかなぁ。男友達も多くて、よく夜になったら飲み歩いてたよ。配信のストレスがすごすぎるから、飲み会がないとやってられないって」


「あ、おいやめろ。夢を壊すな」


「挙句の果てにはホストにもハマっちゃって、配信で稼いだお金はほとんど貢いでたなぁ」


「もうやめてくれっ……俺が配信者になった時に初めての彼氏になる妄想ができなくなるだろ!」


「は? ぴっぴの彼女はわたしなんですけど? その地味な顔で浮気とか、調子乗らないでね? イケメンでもないくせに浮気しないで」


「妄想でもダメなのかよ」


 てか、お前の理論だと顔が良ければ浮気してもいいことになるのだが。

 まぁいいや。どうせ中の人となんて付き合えるわけないし、そこはどうでもいい。


 将来は配信者になろうと思っていたのだが……思ったよりも大変そうなので、やっぱりやめた方がいいのかもしれない――。


【あとがき】

お読みくださりありがとうございます!

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これからも執筆がんばります。どうぞよろしくお願いしますm(__)m


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