恐怖のぼったくりメイド喫茶
これは、メイド喫茶の草創期から通っている人には有名な話である。
かつて大阪・日本橋にはMという店があった。
私も、開店二日目に行った。……ひょっとしたらリニューアル二日目かもしれない。
その頃はまだまともだったと思う。
コーヒー一杯五百円に席料五百円であわせて千円。
喫茶店としては高いが、料金は明示されていた。
入り口の向かいあたりににレジカウンターがあり、その周囲にメイドさんが暇そうにたむろしていた。
大して面白くもない店なので、次はなかった。
しばらくして悪い噂か流れてきた。
いきなりメイドさんが席について飲み物をねだったというのだ。
ドリンクは一杯千円。グラスは小さい。
そこにトーク料が加算される。五分五百円とかそういう値段だったと思う。
そして、あろうことかオタロードの十字路で客引きを始めた。
今調べると、オーナーがいきなり弾き語りを始めて演奏代が加算された、という情報もある。が、これは短期間だったのか当時の日本橋の噂にはなっていなかった。むしろ、そののち別の店でそれをやられたという話を聞いた。他にも、店の入り口には書いてないのにいきなりメイドが舞台で歌を歌い出して演奏代が加算される、なんて店もあった。
演奏代のことはさおておき、いきなりメイドが横に着いて高いドリンクをねだる店Mの話である。
当時、和歌山から知り合いが日本橋に遊びに来たことがあった。
特に親しいわけでもなかったので案内こそしなかったが、路上で客引きしているメイドにはついて行くな、ということはアドバイスした。
すると、みごとにひっかかった。ミニスカにつられたのか好みのタイプだったのかは知らない。
席に着くなりいきなり八人くらいのメイドに囲まれてドリンクをおごらされた。たかが数千円、とたかをくくっていたらしい。
会計の段になって真っ青になった。もろもろ合わせて四万八千円だったのだ!
もめていると、奥からこわもてのオッサンが出てきた。そして、近くのコンビニで現金をおろささせた。とても怖かったという。
あとで愚痴られたが「客引きしているメイドにはついて行くなってアドバイスしたよね」と言うとしょんぼりしていた。そして、いい勉強代になった、と自分で自分をなぐさめていた。
とまあ、ぼったくりで有名なMでは、何度も警察沙汰が起きていた。警察への苦情もたくさん行っていたと思う。けど、なぜか摘発はされなかった。
その後、浪速署の署長がかわったときにMは摘発された。他のぼったくの店や強迫的な売り方をしていたTシャツ屋がつぶされたのと同じ時期だ。
Mのオーナーは本物のヤクザではなく素人ヤクザだったという。
そのオーナーが本物のヤクザが経営しているメイドバーに知らずに行ってドヤりちらかし、そこのオーナーからぼこほこにされた、なんて話も聞いている。もっともこれは日本橋の噂なので本当かどうかは知らない。




