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夢が壊れるメイド喫茶

 大阪の日本橋のオタロード。

 そこには、私のようなメイド喫茶中毒者から興味本位で観光に来た一般人までいろいろな人が歩いている。

 そんな人の流れにいると、たまに面白い会話を耳にすることがある。

 目の前には、大学生くらいの青年が二人、肩を落として歩いていた。

「最初は、本当に夢の国に来たかと思ったよなあ」

「ああ。こんな場所があったのか、て感動した。本当にすばらしかったよ」

「でも、最後のアレはなかったよなあ」

「ああ。アレで一気に冷めた」

 二人で愚痴っている。

「最後にライターを売りに来たのって何なんだよ。そんなもの、店が宣伝に無料で配るものだろうが」

「CDだかDVDだかを売りつけに来たのもひどかったよなあ。それまでのハッピーな気分が台無しだ」

 ははーん、とピンと来た。

 最近、日本橋に進出した東京資本の店だ。日本橋界隈のうわさでは、何かの番組でオーナーが「オタクはただの金づる」という発言をしたとかで、評判がよくなかった。

 そこでは退店の時間近くになると、浅い箱にライターやその他のグッズを詰めた物を持ったメイドさんがまわってくる。「記念にいかがですか」というわけだ。それがけっこういい値段なのだ。

 もちろん、ことわることはできる。けど、気が弱くてつい買ってしまう人もいるだろう。その段階で店側の「むしり取ってやろう」気質が見えて、客は興ざめする。

 売り子のメイドさんの側にもつらい事情があった。グッズの売り上げが悪いと、あとで店長から厳しい叱責を受けるのだ。これはその店の元メイドからの情報なので確かだ。

「あーあ、最初に感じたわくわくを返してくれって感じだよな」

「本当。金をドブに捨てたよ」

 二人の本音は辛辣だった。

 この二人は他のメイド喫茶に立ち寄ることはもうないのだろうな、と思いつつ、私はなじみの平和なメイド喫茶に入るのだった。


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