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僕っ娘魔導師は今日も忙しい  作者: 藤桜


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04【白魔法】

 白魔法の練習をする為に僕はレイサ、アルラと共に町から少し離れた森にやって来た。

 この森はあの鹿の魔物も出てくるらしいがその程度なら平気らしい。

 2人とならなんだか心強い。

 薄暗い森を進むと開けた場所に出た。

 風が気持ち良くすごく良い場所だ。ここにレジャーシートを敷いてお弁当を食べたい気分。

 

「それで僕は何の魔法をやればいいの? というかどうすれば出来るの?」

「そうだな。まずは白魔導師の説明からした方が良いか。たぶんギルドで説明されたと思うが白魔導師は基本支援魔法を得意とするんだ。一応攻撃魔法も使えるが魔物の中でも上位の個体には敵わない。まぁこの辺りの魔物なら倒せると思うがな。基本俺とレイサのフォローを頼むつもりだ」

「それじゃ支援魔法を覚えた方が良いってことだね」

「だな。俺が前衛、レイサが後衛、ナギサが後方からの支援って感じだ。取り敢えず何か魔法使ってみるか。コツとしては杖に魔力を流し呪文を唱えれば発動するはずだ」

「杖に魔力って言われても……」


 僕は杖を握り目を閉じ集中すると知らないはずなのになぜか息を吸うかのように簡単に出来る。

 身体の中心から何かが手を伝い杖に流れて行く感じがする。

 きっとこれが魔力の移動なのだろう。

 目を開け杖を空に掲げた。魔法を使うポーズだ。

 特にこのポーズには意味が無いが何となく魔法と言ったらこんな感じかな。

 

「えっと魔力を流したら呪文を唱えるんだったよね? えーっと“ヒール”」


 呪文を唱えると杖の先が青白くフワッと光った。

 光はすぐに消えたがそれだけで何も起きたようには見えない。


「あれ、失敗したのかな?」

「いや、成功だな」

「そうね」


 実際ケガをしていないと見て分からないようだが二人が言うには体力が回復したらしい。

 肩こりが治ったような感じなのだろうか?

 支援系の魔法は効果が出たかどうかが分かりづらいが魔法に慣れてくると分かって来るらしい。

 その後僕は支援魔法の他に攻撃魔法も少し覚えることにした。

 練習をし続けあっという間に数時間経った。

 気が付けば日も落ち始めて空がオレンジ色に染まっていた。


「よし、今日はここまでにするか!」

「疲れたぁ……」


 僕はその場に崩れるかのように座り込んだ。

 これ感じは魔力切れってやつなのだろうか?

 運動後の疲れとは微妙に違い全身の力が抜けて疲れたような怠い気分。

 

「お疲れ様。初めて魔法を使ったにしては上出来よ」

「そうかな? でもなんだかコツを掴んできたよ」

「そんじゃもう暗くなるし町に戻―――っ!? レイサ」

「うん、分かっているわ」

「ん?」


 急に2人の表情が変わり同じ森の方を見始めた。尋常ではない何かが起きたみたいだ。

 レイサは弓矢を準備し、アルラは剣を構えた。

 木々が風に揺られる音がする中、それとは違う草木を掻き分けるような音が聞こえる。

 僕はありったけの力を出し急いで立ち上がるとレイサとアルラの後ろに行き杖を構えた。

 森の方をじっと見ていると茂みから勢いよく猪が飛び出してきた。

 見た感じはただの猪に見えるがやっぱりこの世界の猪は大きさが違う……。

 遠近法どうなっているの? ってくらいの大きさだ。

 例えるならト〇タのハ〇エースくらいはあるだろう。

 猪は視線を逸らすことなく僕たちの方を見ながら真っ直ぐ走って来た。


「レイサ、いつもの頼んだぞ」

「分かったわ」


 するとアルラは剣を構えながら猪に向かい走り出した。

 その直後レイサは弓を構え勢いよく矢を放った。

 矢はアルラの横を(かす)め猪の左前足に当たった。

 バランスを崩した猪は勢いのまま滑るかのように転び土煙が舞った。

 しかし猪の勢いがあり過ぎて止まることなく滑りながらアルラに突っ込んで行く。このままだとぶつかってしまうと思った瞬間アルラは高く飛び猪の真上から勢いよく剣を胸のあたりに突き刺した。

 そして鹿の時同様にこの巨大な猪も弾けるかのように消えた。

 鹿の時は気が付かなかったが魔物を倒すと魔力が少し回復するみたいだ。さっきより身体が軽く感じる。


「確かあの魔物も討伐対象だったからギルド行かないと。報奨金貰ってくるからお前ら2人とも先帰っていいぞ」

「それじゃお願いするわ」


 アルラは剣を背中に背負い町の方へ歩いて行った。

 報酬っていくらくらい貰えるのだろう?

 今後魔物を倒して生活していかなければならない。

 僕はもっと強くならないと。いつまでも2人に頼っていてはいけない。


「それじゃ私たちは先に部屋に戻りましょ」

「そうだね。僕もうヘトヘトだよ。早くシャワー浴びたい……」


 この世界に来てから色々ありすぎて急に疲れが出て来た。

 僕は崩れるかのようにその場に座り込んだ。

 今すぐお風呂に入ってフカフカの布団で寝たい気分。

 

「それじゃ先にお風呂入りに行きましょ。町のギルド所属なら無料で入れるのよ」

「無料!? 行きたい! すぐに行こう!」


 こんな所で座っている場合じゃない。すぐに立ち上がるとレイサの腕を掴んで町の方まで早歩きで向かった。

 もちろん銭湯がある場所なんて分からないが何となくそれっぽい建物を見たからその場所へ向かった。

 森を抜け草原を通り町に入った頃には日が沈み辺りが薄暗くなっていた。

 外灯には明りが灯り始めている。

 大通りを抜けるとそこには昔懐かしい様なデザインの銭湯があった。

 明らかに他の建物と違うデザインだ。まるで日本人が作ったみたいだ。

 僕は男湯の方へ入ろうとした時、今度はレイサが僕の腕を掴んできた。


「ちょっと。そっちは男湯よ!?」

「えっ!? あっ……」


 お風呂に入りたい気持ちが大きく忘れていた。

 そう言えば女の子になっていたんだった。

 しかもまだ自分の身体を見たことが無い。

 先ほどまでのお風呂に入りたい感情より今はピンチの感情の方が大きくなっていた。

 レイサに腕を引っ張られ女湯の方へ連れて行かれた。

 今の僕は女の子であって別に悪いことをしているわけでは無いのになんだろうこの罪悪感は……。

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