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「ご不満?」
2021 6/16 5:35
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こう思うと旅というものも存外悪くないものだ。景色に色がなくても、傍らに在る彼女を思うと不格好な世界すら許せてしまう。素晴らしいね。
僕如きでは彼女の顔も見ることすらままならない。だが共にいることは感覚としてわかるものだ。僕は彼女と旅をしている。首を傾げている姿が浮かび上がる。
ここは、彼女と出会った場所から一番近い街だったと思う。それはわかる。だが、街の何処かはわからない。今、僕が歩いているのか、走っているのかもわかっていない。
歩みの進め方がわからない
女性はエスコートするのが正解なのだろうか?それとも先導してもらうべきなのか?わからない、
人の生き死にもわからない。
浮遊感を味わう。僕は彼女の手を取った。初めて手を握るという行為をした。その手には温もりがなく、温かった。愛の感情で胸を満たしながら、僕等は降下していった。
僕の感情に偽りはなかった。




