表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータスALL Sの受験生が170キロで高校野球を終わらせた件  作者: 白峰レイ
第1章 高校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/103

第12話 試合開始

開明高校 対 陵西高校――ついに試合開始。


スタメン発表


1. ピッチャー - 山田亮太

2. キャッチャー - 佐藤智也

3. ファースト - 鈴木正信

4. セカンド - 高橋直樹

5. サード - 田中宏

6. ショート - 渡辺優

7. ライト - 金森翔

8. センター - 加藤信

9. レフト - 夏目孝太郎


「おい誰だあの巨人!?」


「あの背番号10、絶対高校生じゃねえだろ!」


陵西ベンチが騒ぐ。


「夏目くん、落ち着いて。変な声に反応する必要はないわ」


伊藤が横で淡々と言う。


「いや、変じゃないか?“巨人”って言われてるぞ?」


「事実でしょ?」


中村が飛んでくる。


「おっ、お前、伊藤!!おい、なんでベンチにいるんだよ!?」


「あら、キャプテンなのに知らないの?私、島田先生にお願いされて、野球部のマネージャーになったのよ?」


「はぁ!?聞いてねーよ!! どーゆう事ですか!島田先生!!」


「いや……まあ、なぁ?」


野球部顧問の島田は伊藤に弱みを握られていた。

家庭科の教師と付き合っていることが彼女にバレていたのだ。


「中村先輩!伊藤さんにそんな口の利き方しちゃダメっすよ!こんな可愛いマネージャーがいるなんて奇跡なんっすよ?」


部員達は突然入部した可愛いマネージャーにテンションが上がっていた。


「あれ?俺味方0!?俺キャプテンだぞ!?」


既に開明高校野球部は伊藤玲奈のものになっていた。



◆ 一回表 攻撃


一番山田の二塁打、二番佐藤のバント、三番鈴木の犠牲フライで先制。4番の高橋はライトフライに倒れた。


伊藤はスコアブックにカチカチ書き込みながら微笑む。


「ふふ、いい流れね」


「伊藤って、意外と野球好きなのか?」


「別に。ただ“あなたの出る試合”だからよ」


「……っ!!?」


中村「おい夏目!!ニヤニヤしてんじゃねぇ!!」


(してねぇよ!!)


◆ 一回裏 守備


レフトの夏目が守備位置へ向かうと、観客が沸く。


「デケェ!」「密林の王者!!」

「生態系が変わるレベルだろ!」


(誰がゴリラじゃい!)


スタンドを見た中村が松葉杖でベンチの手すりを叩く。


「夏目ぇぇ!もうちょい動け!なんかアピールしろ!」


夏目はしぶしぶ手を振る。


「人気ね、夏目君」

伊藤がベンチから手をひらひら。


2年生ピッチャー山田の立ち上がりは悪くない。

一番を内野ゴロ、二番をセンターフライ、三番には自慢のスライダーで三振を奪った。


夏目は欠伸しながら立っていただけだった。


「いいピッチングだったわね」

伊藤が言う。


「そうだな、全然飛んでこねぇし。暇なんだよな」


◆ 二回表 攻撃


開明高校の5.6.7番は仲良く三者三振。

5番から8番までは高校から野球を始めた者ばかりで、人生初の試合にガチガチに緊張していた。


◆ 二回裏 守備


状況は急変。


山田の球が荒れ始め、4番、5番に四球、6番を討ち取ったと思った打球をサードがエラー。

満塁から押し出しで同点、8番をショートゴロに打ち取るもその後に失点、失点、失点。

スコアは一気に1-4。


グラウンドの空気が重く沈む。


山田がうつむいたまま呟く。


「……すみません」


伊藤が帽子のつばを軽く持ち上げ、優しく言う。


「落ち込んでる時間はないわよ。次を抑えればいいの」


夏目はそれを聞いて、少し驚いた。


(伊藤……意外と熱いんだな)


そして――

一死三塁。


フラフラと舞い上がる打球が、レフトへ。


「夏目ぇ!!行ったぞー!!」

中村が叫ぶ。


夏目はゆっくり一歩後ろに下がり、淡々とグラブを構える。


(まだ1アウトだから、ランナーが3塁からタッチアップでホームに走るんだよな……)


バシッ!


捕球。


「夏目ー!ないキャッチー!」


三塁ランナーがスタート。


夏目は一歩踏み出し――腕を振り抜いた。


シュッ。


空気が裂けた。


客席まで届く風圧。


ボールは地面すれすれを一直線に走り、

キャッチャー佐藤のミットがバッッッン!!!!

と破裂音を立てた。


ランナー唖然。

キャッチャー佐藤、優しくタッチ。


「アウトォォォ!!」


球場、静寂。そして爆発した。


「レーザービーム!!!」

「なんだよあれ!?ワンバンじゃねえのか!?」

「レフトから直線で届くのヤバすぎだろ!!!」

「野球ゲームのバグ技じゃねえか!!」


伊藤も口元に手を当て、ぽつり。


「……ほんとに投げたわね。化け物じみてるわ」


中村が叫ぶ。


「夏目ぇぇぇぇ!!!!!!好き!!!!!!」


「告白すんな!!!」


こうして、夏目は“未知の新人”から

一気に“伝説級のレフト”へと昇格してしまった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ