Episode:71
「ここにおばさんたち、置いてくのか?」
驚いて訊くと、またちょっと首をかしげながら、ルーフェイアが答えた。
「だって、ロジーヌさんすぐには動かせないし……行く先も違うし……」
「あー、たしかに」
おばさんのことを考えたら、ぜったいに良くなるまでここに世話になったほうがいい。けどそれだと、俺らは休みが終わるわけで。
最初の目的からするとかなり中途半端だけど、とりあえず安全なとこへ着いたわけだし、ここから別行動がたしかに良さそうだった。
「ジマリ……出来る?」
「お嬢様が願われるのでしたら、もちろんその通りに。ですが列車の切符だけは、お時間をいただけますか?」
当然ちゃ当然の答えが返ってくる。
「もちろん。でもあの、新学期が始まる前に、学院戻りたいから……」
「分かりました、なるべく早く手配いたします」
兄ちゃんが請け負う。
ただ俺としては、おじさんのとこへいつもみたいに寄るのはムリかな、って気もしてきてた。
ホントだったらもう、おじさんの家に着いてるはずだ。なのにまだこんな遠くに居て、これから向かおうってんだから、ムチャもいいとこだ。
でもここから南へ戻って、船でケンディクってコースはムリだろう。列車が途中までしか行ってないから、また走竜に乗って戻んなきゃなんねぇし、途中で軍に出くわす可能性も高い。
結局どっちしても一旦本線へ出て、アヴァンへ向けて北上するしかなかった。
それならちょこっとだけ顔出して、即帰ろうと思いながら、ジマリに話しかける。
「ロジーヌさんの面倒って、頼んじゃってもだいじょぶです?」
「もちろん。同じレデだしね」
同族なだけに、付き添う気満々みたいだ。でもこれなら、俺らも心配しないで済む。
「そうしたら、ジマリ……」
ルーフェイアが言いかけたとこで、廊下に通じる扉が開いた。
「あれ、みんなまだ起きてて――あぁそうだ、明るくなってきたからつい、寝床用意するの忘れてた」
ばあちゃんが入ってくるなり、素っ頓狂な声を上げる。
「すまないねぇ、年取ると物忘れがひどくて。すぐ案内しますよ、とりあえず寝るだけなら、使えますかんね。どうぞこっちへ」
いきなりの話に、俺ら顔を見合わせた。
「あれ、どうしました?」
「あ、いえ、俺らも何も考えてなくて。なんかここ着いたら、ホッとしちゃったんですよね」
おれの言葉にばあちゃんが頷いた。




