Episode:70
「ほら、ルーフェイア、行くぞ」
まだなんか言い足りなそうなルーフェイアを、声かけて連れ出す。
元の部屋へ戻るとソファにはおばさんの子が寝てて、ジマリってにいちゃんが隣に座ってた。寝かしつけてたらしい。
「ここのばあちゃん、どうしたんです?」
姿が見えないのに気づいて、訊いてみる。
「タオルとお湯持って、先生のとこ行ったよ」
そういやそんなこと頼まれてたな……と思いながら、俺も空いてるソファに座った。注いであったお茶は、すっかり冷めちまってる。
「それでお嬢様、これからどうなさいます?」
一息ついたあたりで、兄ちゃんが切り出した。けど訊かれたルーフェイアのほうは、思いっきりきょとんとした顔になる。
「どうって……どう?」
答えも意味不明だ。
兄ちゃんのほうも、まさかンな返され方するとは思ってなかったんだろう。ぽかんとした顔になった。
「えーとですから、そのですね……つまり、ここからお嬢様方は、ルアノンへ行かれるんですよね?」
「うん」
今度はちゃんと話が通じる。
「ここからなら列車、出てると思ったんだけど……違った?」
「ええ、出てます。そうしたら、切符の取り直しですね」
今までこの兄ちゃん抜けてっと思ってたけど、ちょっと見直した。スケジュールとかルートとか、ちゃんと把握してる。お付きの人の最低ラインクリアだ。
ルーフェイアのほうは、なんも考えてなかったらしい。いつものクセであごに手当ててちょっと首かしげて、考え込んだ。
「そっか……駅も路線も、違うんだっけ……」
バトルだとあんだけ冴えてんのに、それ以外だとコイツ、どーしてこんなにボケてんだか。
それでもさすがに、このままじゃダメだと思ったんだろう。ルーフェイアがひとつひとつ確かめ始めた。
「えっと、まず、ルアノン……行くんだよね?」
「だな」
そもそもそれが目的で、ケンディク出たわけだし。
「じゃ、ここから大陸縦断ルートの本線へ出て……北上?」
「そうなるな」
てーか列車使うなら、それ以外に方法ねぇだろう。
またルーフェイアが、少し考え込んだ。
「そうしたら、えーっと……ロジーヌさんたちは、どっちへ?」
「本線出たら南だな」
「じゃぁ、ここで……お別れ?」
意外なことを、ルーフェイアが口にする。




