Episode:69
「ベッドへ移って、取り出したいのですが。歩けますか?」
「あ、うん、たぶん……」
言っておばさん身を起こしかけたけど、起き上がれない。ここまでの強行軍が祟ってんだろう。
「手を貸しますよ。君たちも手伝ってくれ」
「あ、それなら……」
ルーフェイアのヤツが進み出た。
「魔法、かけますから。えっと……あの、先輩、離れてください……」
「分かった、助かる」
何をするかは分かってなさそうだけど、先輩が離れる。ルーフェイアの実力はこの先輩、ちゃんと知ってるらしい。
「あの、ロジーヌさんも、動かないで……くださいね?」
「分かったよ、お嬢ちゃん」
おばさんもうなずいて、動きを止めた。
「えっと、じゃぁ、行きます――セレスティアル・レイメント!」
軽くなる魔法をこいつが唱えた。
「驚いた、その魔法が使えるのか」
先輩が感心する。
「その魔法、ふつうは知らないはずなんだが。そもそも、使える人が居なくて廃れた魔法だろう?」
「えっと……」
ルーフェイアが首かしげた。
――まぁコイツの場合、そうだろうけど。
なんせシュマー家のグレイスだ。どんなレア魔法だって伝わってそうだし、使うことにかけちゃルーフェイア、天下一品だろうし。そこら辺が組み合わさっってんだから、仕えない魔法探したほうが早ぇだろう。
「……まぁいいか。先に移動しよう」
「あ、はい」
魔法で軽くなったおばさんに、みんなで手貸して移動させる。
「これ楽だねぇ。ずーっとかけられないかね?」
「えっと、すみません、ムリです……」
おばさんの軽口をルーフェイアが真に受けて、頭下げた。どうもこの辺、コイツ真面目すぎる。
「あぁ、いやいいんだよ。あたしがダイエットすりゃいいんだし」
バツが悪そうにおばさんが言いながら、またベッドに横になった。
「じゃ、君たちは向こうの部屋へ。後は僕がやるよ」
「え、でも、手伝い……」
ルーフェイアの言葉に、先輩が首を振る。
「上級隊でもない君たちに、手伝いなんてさせられないよ。さ、行って」
「――わかりました」
俺的にはルーフェイア、手術の修羅場でも平気じゃねぇかと思うけど、まぁ先輩それ知らないし。気遣ってくれてんだろうから、無碍にもできねぇし。




